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自動車で通勤している人への税金優遇を見直す―国交省が税制改正要望

2010年08月30日

このほど、国土交通省が平成23年度の税制改正要望の主要項目を公表しましたが、サラリーマンの多くが自動車通勤をしている人への通勤手当の非課税制度の見直しを求めている点に強い関心を寄せています。

 現在、会社の役員や従業員が受け取る給料に加算して支給される通勤手当や通勤定期券については、原則として10万円まで非課税となっています。この10万円という限度額が適用されるのは、あくまでもバスや電車などの公共交通機関を利用する場合で、自動車などの交通用具を使って通勤する人については、1ヵ月当たりの非課税限度額は片道の距離で決められています。例えば、2q以上10q未満は4,100円、10q以上15q未満は6,500円、最大で45q以上は24,500円までが非課税と定められています。
 今回、国土交通省が公表した税制改正要望には、この通勤手当の非課税制度について、地球温暖化対策を名目として引き締める方向が示されました。具体的には、「通勤交通のグリーン化を促すため、交通用具常例使用時の通勤手当非課税制度の適正化」を掲げています。都心部へ通勤するサラリーマンは、自動車通勤をする人が少ないので、大きな影響はありませんが、地方では自動車が生活していくうえで足となっているため、自動車通勤に関する税の優遇措置が無くなると大きな痛手となってしまいます。税理士などからは「都心部への自動車の乗り入れを規制する方向で通勤手当の非課税制度を見直すべきだ」といった声が出ています。

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マイホームの買い換え特例改正で細かな取り扱いを公表―国税庁

2010年08月30日

 平成22年度税制改正により、マイホームを買い換えたときの税の優遇措置が改正されましたが、このほど、その改正された優遇措置に関する税の取り扱いを国税庁が公表しました。

 平成22年度税制改正に盛り込まれたマイホームを買い換えたときの税の優遇措置とは、「特定の居住用財産を買換えた場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額を2億円以下とする」というものです。
 特定の居住用財産を買換えた場合の長期譲渡所得の課税の特例のしくみは、特定のマイホームを、平成23年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたとき、売ったマイホームの譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるというものです。例えば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合には、通常、譲渡益4,000万円に譲渡所得税が課税されますが、同特例を適用すると売却した年分で譲渡益への課税は行われず、買い換えたマイホームを将来譲渡するときまで譲渡益に対する課税を繰り延べることができるのです。
 平成22年度税制改正で、売ったマイホーム(譲渡資産)の対価については「2億円以下とする」とされました。これを受け、このほど国税庁が同特例の取り扱いを改正しました。具体的には、「2億円以下という要件をクリアーするために、売買契約書に記載された不動産の契約金額以外に協力金や移転料等の別名目で金銭の授受が行われるケースなどが想定されることから、譲渡資産の譲渡に係る対価の額とは、名義のいかんを問わず、その実質において譲渡資産の譲渡に係る対価の額をいう」といった細かなことを取り決めています。

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年金形式で受け取る生命保険金への二重課税判決で納税者に誤った見解広がる

2010年08月23日

今年7月に最高裁判所が下した、遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税を取り消す判決で、 納税者側に一部見解の相違があることを国税庁が明らかにしました。

今年7月6日、遺族が年金形式で受け取る生命保険金について最高裁が「年金の各支給額のうち相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象とならないものというべきである」とする判決が下され、生命保険業界が沸き立ったものです。
この判決を受け、野田佳彦財務大臣は「過去5年分の所得税については更正の請求を出していただいたうえで、それを経て減額の更正をするという形の対処をしていきたい」とコメント。年金形式で生命保険金を受け取っている人たちの誰もが、毎年、生命保険会社が源泉徴収されてきた所得税について、少なくとも過去5年分は還付されると思い込んでいました。
しかし、国税庁によると「その思い込みには間違がある」としています。7月の最高裁判決は、「遺族が年金形式で受け取る生命保険金の1年目の支払いについて、所得税を課税するのは二重課税にあたり違法としもの」と説明。1年目については保険金の元本だけが支払われるからで、分割払いされる2年目以降については元本の運用益が含まれるため、所得税が課税される可能性を残しているというのです。
したがって、国税庁では「運用益相当部分についても非課税と解釈するのは難しい」という立場を取っています。もちろん、運用益に所得税を課さないとする立法措置が行われれば、国税庁も過去に源泉徴収した所得税を全額還付する意向を示しています。

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減税や補助金などの息切れで3年ぶりの景気回復基調にブレーキ―
帝国データ予測

2010年08月23日

せっかくの景気回復基調も、家電エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの政策効果の息切れで ブレーキがかかる―。これは、民間の調査会社の帝国データバンクによる2010年度と2011年度のマクロ経済の見通しです。

8月16日に内閣府が国内総生産(GDP)速報で、「2010年4〜6月期の日本経済は、1〜3月期と比べて+0.4%と辛うじて成長した」と発表しました。これを受け、このほど帝国データバンクが、前回(6月14日)の2010・2011年度のマクロ経済の見通し見直しました。
その見通しでは「2010年度の日本経済は、3年ぶりのプラス成長になる」としたものの、「家電エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの政策効果の息切れも現れ、2011年度の日本経済は、2年連続でプラス成長になるが、ゆるやかな成長となる」としています。
2010年度のプラス成長については「消費は、4〜6月期に家電エコポイントの対象範囲の見直しで生じた駆け込み需要の反動により薄型テレビが大きく落ち込んだが、FIFAワールドカップ南アフリカ大会(6月)や来年の地上デジタル放送全面移行(2011年7月)といったイベント、さらに猛暑などの気候要因も加わり、テレビやエアコンを中心とした耐久財への消費が大幅に拡大するとみられる。加えて、公立高校の実質無償化(4月〜)や子ども手当(6月〜)など、家計への直接支援なども個人消費には好材料になる」という根拠を示しました。
そして、2011年度については「消費は、エコカー補助金の終了(9月)や家電エコポイント制度の期限切れ(12月)などでその効果が剥落すると見込まれ、緩やかな増加にとどまる」とみています。しかし、「輸出は、中国経済や米国経済がさまざまなリスクを抱えながらも引き続き安定した成長が見込まれることから、2011年度も拡大する見通し。設備投資は、輸出の拡大などを受け2年連続で増加すると予測される。また、住宅投資は、長期金利の低下などにより住宅の購入環境が徐々に整い、7年ぶりに増加するとみられる」として「設備投資と住宅投資に支えられた成長になる」と予測しています。

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うの目たかの目で誕生した介護保険制度の問題点(10)
介護認定後のサポートには2つの選択肢がある

2010年08月16日

行政サイドから(市区町村)、「要介護」、「要支援」の認定を受けたら、利用者がどのような形での介護支援を望むかによって、大まかに二つの流れがあります。一つは、“在宅”でのサポートを希望される場合です。今一つは、“施設”でのサポートを希望するケースです。要支援認定者については、自ずから在宅での支援に限られますが、要介護認定者には、サポートの入り口段階で二つの選択肢があるということです。

まずは、在宅(居宅)での生活を選択される場合の、その先の流れについて触れます。要支援認定者については、市区町村にある“地域包括支援センター”と、そして、要介護認定者については、“居宅介護事業所”との密なコミュニケーによって、いわゆるケアプランを作成してもらいます。
ここでは利用者の心身の状況、生活環境等を十分に踏まえながら、サービスの種類、内容を個別的、具体的に決めてゆきます。そして、この要支援、介護に対する具体的なサービス計画(ケアプラン)を、市区町村の福祉課に届け出ます。こうした一連の手続きを経た後に、訪問サービス、通所サービス、短期入所サービス等実際のケアが開始されるのです。

なお、施設でのサポートを望む要介護認定利用者は、数ある施設の中から最も条件が良いとされる施設に直接申し込みを行い、所定のシステムの中でサービスを受けることになります。

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今後あるべき消費税の姿(11)
大きな制度改正のときに激変緩和措置は必要か?

2010年08月16日

平成15年度の消費税の大改正により、事業者免税点が課税売上高3000万円から1000万円に引き下げられたため、116万の新たな消費税申告者が誕生しました。この大改正を行なうにあたり、一部の国会議員から「数多くの消費税の申告に不慣れな課税事業者のために、創設当時に匹敵する政策的配慮が必要。限界控除制度の復活や仕入税額控除要件としての請求書等の保存を緩和するべきではないか」といった意見が相次で出されたものです。
その意見に敏感に反応したのが財務省でした。新たな消費税申告者のために政策的な配慮は「必要ナシ」という考えを持っていたからです。財務省は、消費税の導入後すでに16年が経過し、その間、消費税の課税事業者ではない事業者であっても、仕入や売上の際に消費税相当分をどのように処理すべきかを考えながら事業を行ってきているわけだから、全く新たに導入された状況とは異なると考えていました。

一方、消費税の導入から行なわれてきた制度改正は、中小零細企業にくすぶり続けている益税問題を解消するためや、請求書等の保存の義務付けは税務署の適正な税務調査を確保するために行なわれてきたものです。これらを導入当初に戻すということは時代に逆行した行為であって、最終的に消費税を納税する一般国民からは到底理解を得られるものではないと財務省は考えていました。
消費税制度の大改正にあたり、財務官僚たちは「新たに申告を行うことになる事業者については、事業者への記帳指導のための何らかの補助、補填を政策的観点から検討すべきものであって、消費税制度を変容させることや、執行上の裁量といった不透明な運営で対処すべきものではない」などと説明しながら当時の国会議員たちを説得して回ったといわれています。

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マイカー通勤する従業員に公共交通機関の利用を促進。
交通費は全額非課税

2010年08月09日

この夏の猛暑で地球温暖化が加速していることを実感する人が増えていますが、 このほど仙台国税局が、ノー・マイカーデー制度を作って従業員に公共交通機関の 利用を奨励する会社に対して税制の優遇措置の適用を認めました。

仙台国税局管内のある会社が、ノー・マイカーデー制度と称して自動車で通勤している従業員にエコ定期券を支給。このほど仙台国税局が、そのエコ定期券の代金についても所得税が非課税となる通勤手当の限度額に含めても構わないとする見解をしましました。優遇措置が認められた会社のノー・マイカー制度とは、地球温暖化対策をひとつの目的として、毎月1日、11日、21日をノー・マイカーデーと位置付け、自家用車やオートバイを使って通勤している従業員に当日の通勤手段を自主的に公共交通機関へと切り替えることを促したものです。同社では、制度を利用する従業員に対して、鉄道会社が発売している毎月1日、11日、21日のみ使用することができる乗車券(エコ定期券)を、別途、通勤手当として現物支給することにしました。
そこで問題となったのが、通常の通勤手当とは別に現物支給するエコ定期券の代金について、通勤費10万円を限度として所得税が非課税とされている優遇措置が適用できるのかということでした。同社では「この制度を利用する従業員は、もともと交通用具(車やバイク)を使用することを常例とする者であり、また、交通用具を使用しない日が1月当たり3日にすぎないことから、交通用具を使用することを『常例』とする者であることに変わりはない」と仙台国税局に説明。そして、「交通用具を使用することを『常例』とする者として通勤手当の非課税限度額を算定することが相当(交通機関を利用した日数と交通用具を使用した日数に応じてあん分計算する必要はない)と考える」とする意見を出しました。それに対して、仙台国税局は「同社の照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答しています。

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80%が手間取っていた“事前手続き”が今年は60%が「簡単」に
―e-Tax利用者アンケート

2010年08月09日

国税庁が国税の電子申告・納税システム(e-Tax)の平成21年度利用者アンケートの結果を公表しました。 今回の特徴は、電子証明書の取得やICカードリーダライタの設定などの事前手続きについて50%以上が「利用しやすい」と答えています。

e-Taxは、自宅や会社にあるパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告や納税などが行える便利なシステムです。国税庁では、このe-Taxの利用者を対象として毎年アンケート調査を行っているわけですが、今年は2月から5月にかけてそのアンケートを実施。過去最高の36,631件(前年度8,678件)から回答を得ています。
アンケートの質問内容は、いつもと変わらず「e-Taxをどのようにして知ったのか」や「利用した手続き」、「事前手続き」、「各機能の利用のしやすさ」などを聞いたのですが、今回、もっとも変化があったのは「事前手続き」でした。事前手続きに関する質問としては「電子証明書及びICリーダライタの取得や設定」や「開始届出書の送信・利用者識別番号の取得」、「e-Taxソフトのダウンロード・インストール」、「電子証明書の初期登録」などについて簡単だったかを尋ねているのですが、昨年などは80%近くの人が「事前手続きに手間がかかる」と不満をもらしていました。ところが、今回はいずれの質問項目でも60%前後の人が「とても利用しやすい」、「利用しやすい」と回答しています。
税制改正により、税理士が代理送信する場合、納税者本人の電子署名を省略し、税理士の電子署名のみで電子申告できるようにするなど、事前手続きの簡素化を進めたことが効を奏した模様です。
なお、今回のアンケートの回答者からは「確定申告書等作成コーナーから所得税申告をe-Taxに送信する際の医療費控除の明細入力画面について、もっと入力しやすくして欲しい」といった要望が新たに出されています。

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勤め先から住宅購入資金を借りるラストチャンス。
年内で税金優遇終わります

2010年08月02日

住宅販売会社の多くが、この秋口からサラリーマンに対してマイホーム購入を強く呼びかける構えを見せています。会社から住宅購入資金を借りた場合の所得税の優遇措置が年内で終了するからです。

20代、30代の若い人たちがマイホームを購入するとき、資金的な援助が無ければ到底実現できるものではありません。まず、頼るのが両親で、その次に勤め先から借り受け、それにプラスして銀行ローンを組むというのが一般的です。ところが、平成22年度税制改正で、勤め先から住宅購入資金を借りた場合の所得税の優遇措置が今年で廃止されることが決定されました。
サラリーマンが住宅購入資金を勤め先から借り受けた場合の所得税の優遇措置とは、サラリーマンが勤め先から直接、住宅購入資金を無利息または低い金利により資金を借り受けた場合や住宅ローンの支払い利子について、勤め先から全部または一部補給を受けた場合、勤労者財産形成、いわゆる財形について勤め先や事業主団体などから受ける補給金について、その経済的利益について所得税が非課税とされているものです。
この優遇措置について、平成22年12月31日をもって廃止されることから、住宅販売会社の多くが駆け込み需要をかきたてようと現在構想を練っているといわれています。ちなみに、法律上では、同日以前に勤め先から住宅資金の貸付けを受けた人については、その後も同優遇措置が継続して適用できる経過措置が講じられています。

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首相が増税狙う消費税。
じつは全税目の中で一番滞納されている―国税庁調べ

2010年08月02日

さきに行われた参議院選挙で民主党が大敗した引き金となったのが、管直人首相の消費税の増税発言でしたが、このほど国税庁がまとめた統計によると、消費税の滞納金額は所得税や法人税を大幅に上回り、全税目の中でワースト1となっています。

国税庁がこのほど、今年3月末までの1年間(平成21年度)の租税滞納状況を取りまとめました。それによると、全国で新たに発生した滞納額は、7,478億円(前年度8,988億円、16.8%減少)で、そのうち、消費税については、3,742億円(前年度4,118億円、9.1%減少)となっています。個人事業者などが納める申告所得税の新規発生滞納額は1,356億円で、法人税の新規発生滞納額が1,074億円であったことから、またも消費税の新規発生滞納額が全税目の中で最高額となりました。
これに対して全国の国税局・税務署は「納税者個々の実情を踏まえ法令等に基づき、大口・悪質事案や処理困難事案に対して厳正・的確な滞納整理を実施するとともに、消費税滞納の残高圧縮に向けて確実に処理することに重点を置いて滞納の整理促進に努めた」としています。その結果、国税当局による平成21年度の国税の滞納整理済額は、8,061億円(前年度9,601億円、16.0%減少)で、整理済額は、新規発生滞納額(7,478億円)を583億円上回っています。
なお、そのうち消費税については、3,860億円(前年度4,172億円、7.5%減少)となり、消費税の整理済額も新規発生滞納額(3,742億円)を118億円上回っています。

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