地方税ポータルシステム(eLTAX)が今年11月18日から1週間利用できなくなります。(社)地方税電子化協議会と全国の地方公共団体が、現在、納税者と税理士に呼びかけているところです。
eLTAXは、パソコンさえあれば「社団法人地方税電子化協議会」が運営するインターネット上のポータルサイトから地方税の申告、申請、納税などの手続きが電子的に行えるシステムのことです。
じつは、このシステムのサービスが今年11月に一定期間全面ストップします。同協議会では「eLTAXは運用開始から5年を経過し、現在機器の全面入替え作業を進めているところで、この全面入替えを安全、かつ、確実に実施するために、やむを得ずサービスを一時完全に停止することになりました。一時停止による影響度を慎重に検討し、総合的に判断したものです。ご利用いただいている皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何とぞご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします」としてアナウンスしているところです。
サービスの停止期間は今年11月18日木曜日から11月25日木曜日までです。11月26日金曜日は、午前8時30分から利用できます。なお、注意したいのは11月26日からeLTAXが利用できるパソコンの主な環境が、WindowsのXP(SP3)とVISTA(SP2)、そして、Windows 7で、Internet Exploerは7と8になるということです。この環境以外では動作保証されていません。
11月は9月決算法人の事業税の申告や個人事業税の第2期分の納付が行われる時期とあって、全国の地方公共団体も周知に躍起になっているところです。ちなみに、平成22年6月30日現在のeLTAXの利用届出(新規)の提出状況は、累計で納税者が108万8,546件、税理士は4万2,806件となっています。
今年6月に日本証券業協会と投資信託協会、全国証券取引所が共同で取りまとめた平成23年度税制改正要望がクローズアップされています。資産家が所有する上場株式に対する相続税と贈与税の軽減措置の導入要望が高く評価されています。
相続税と贈与税の軽減措置としては、小規模宅地の評価減特例や相続時精算課税制度、非上場株式の80%納税猶予などが有名です。いずれも親の財産を子供が引き継ぐときに節税策として利用されているものですが、じつは、親が投資目的で所有している上場株式や株式投資信託を子供が引き継ぐときには、軽減措置がまったくないのです。相続や贈与の際、いったん株式を売却して現金化するのが一般的になっています。
そこで、いま注目されているのが、今年6月に日本証券業協会などがまとめた平成23年度税制改正要望です。その中で「相続・贈与に係る税制措置」として、上場株式と株式投資信託の税負担の軽減を求めています。具体的には、「高齢者層から若年層への資産移転を円滑に行い、幅広い年齢層の投資促進に資する観点から、株式及び株式投資信託の相続・贈与について、その評価額を『現行制度の70%相当額』、『課税時期から起算して1年前の日までの間のうち最も低い最終価格』、『相続・贈与の日から申告をする日までの間のうち最も低い最終価格』のいずれかを選択できるような措置等を図ること」としています。
9月に入れば政府税制調査会が平成23年度税制改正へ向けて本格的な議論を始めますが、この上場株式に対する相続税・贈与税の軽減措置が実現することを多くの資産家が強く望んでいます。
「電子申告が普及するまで当分の間、毎年、税額控除を受けることができるようにしてほしい」―日本税理士会連合会(池田隼啓会長)が、今年も「電子申告に関する要望事項」を取りまとめました。近く国税庁に提出する予定です。
日税連が今年も、電子申告の問題点を実務家の視点から洗い出し、「電子申告に関する要望事項」を取りまとめました。今年度は「利用率を向上させるインセンティブ」、「過渡期における経過措置」など14項目の改正を要望しています。
納税者にとって注目したいのは、やはり「電子政府の推進のために協力をした電子申告利用者に対して、インパクトのあるインセンティブを実施すること」とした要望です。
日税連では「平成21 年度の電子申告利用率は45.4%と発表されたが、電子申告開始届出書の伸び率や所得税申告書の利用割合の伸び率を考えると、普及促進が頭打ちになっていくという可能性が考えられる」として、平成25 年度末までに利用率65%という政府が掲げた目標値の達成に対して危機感を表明しています。過去の電子申告利用率向上のために政府が行なった施策は、①相談会場の来署型電子申告の導入、②e-Tax(国税庁の電子申告システム)を利用した場合、平成19年分から平成22年分のいずれかの年分で1回だけ利用できる最高5,000円の所得税額控除、③税理士による代理送信などです。
この施策のうち、日税連では「今後さらに電子申告を推進していくためには、インセンティブとして、電子申告が普及するまで当分の間、毎年、税額控除を受けることができるよう要望する。また、代理送信の場合でも、電子申告控除として税額控除を当分の間実施していただきたい」としています。
土地と建物を別々の人が所有している住宅について、建物を取り壊して土地だけ売った場合でも居住用財産の3,000万円の特別控除が適用できるとする判断を、このほど高松国税局が初めて示しました。
高松国税局に判断を仰いでいた納税者は、高松国税局管内に土地を所有し、その土地の上に妻名義の家屋を建てて生活していました。そして、その納税者は住んでいる住居の売買に当たり、買主である第三者(個人)の要請で、家屋を取り壊し更地にして引き渡したとしています。 そこで問題となったのが、納税者がこの土地の売却により得た譲渡所得について居住用財産の3,000万円の譲渡所得の特別控除が適用できるのかということでした。原則として、土地だけの譲渡では、3,000万円の特別控除は適用できないことになっているからです。
3,000万円の特別控除を適用するには「当該土地等の譲渡に関する契約が、その家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること」、「その家屋を取り壊した後、譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していない当該土地等の譲渡であること」という要件を満たさなければなりません。また、譲渡所得が特別控除額の3,000万円に満たない場合の適用要件として「その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと」、「その家屋の所有者とその土地等の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること」、「その土地等の所有者は、その家屋の所有者とともにその家屋を居住の用に供していること」という取扱いがあります。
問い合わせてきた納税者は、妻と生計を一にするきちんとした夫婦であり、家屋を取り壊す3カ月前までその家屋に居住していました。また、売却した土地は、家屋を取り壊した後、貸付けその他のことに使っていませんでした。そこで、高松国税局では、国税庁の取扱い通達に示されているすべての関連する要件に該当するので、3,000万円の特別控除の特例の適用があると判断しました。
国税庁が昨年度実施した4回のインターネット公売で、前年度よりも1億円上回る3億円を売り上げたことが分かりました。
インターネット公売は、国税庁が平成19年6月から行なっているもので、民間のオークションサイトを利用することにより、公売の期間中24時間インターネット上で物件の買受申込みができるようにした便利なシステムです。
7月7日に公表された国税庁レポート2010によると、平成21年度はインターネット公売を4回実施し、延べ約7,000人(前年度1万1,000人)が参加。絵画、貴金属、自動車、不動産など約600物件(同約500物件)が、約3億円(同約2億円)で売却されたとしています。参加者が前年度よりも少なかったことから、売れた公売物件が比較的高い価格で落札されたことが伺えます。
国税庁の滞納者に対する目玉施策として、インターネット公売に次ぐのが集中電話催告システムです。全国の税務署で発生した新規滞納事案について、集中電話催告センター室(納税コールセンター)が掌握し、滞納者に対してコンピュータシステムが自動的に電話をかけ、税務職員が、端末機画面に表示された滞納者情報を見ながら、納付の催告を行うというものです。
国税庁レポート2010によると、平成21年6月までの1年間で、同システムにより催告対象約84万者(前年度81万者)のうち、約57万者(67.9%、前年度約54万者66.5%)が完納し、9万者(11.1%、前年度9万者11.0%)が分納中であるとしています。
今年9月末でエコカー補助金が終了することから、(社)日本自動車工業会(自工会)の志賀俊之会長が7月7日の定例記者会見で「景気に悪影響を与える」として政府に新たな対策を求めました。
自工会では、2010年度の自動車の売行きについて「補助金が年度前半で終了することもあり、四輪車総需要は465万台(前年度比95.1 %)が見込まれる。うち、登録車は300万3,000台(前年度比94.3%)、軽四輪車は164万7,000台(前年度比96.4 %)」に落ち込むと予測しています。これによる自動車メーカーの売上げダウンやその関連業界の収益悪化は、日本の景気に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。
四輪者の総需要が落ち込むのは、現時点で販売を押し上げているエコカー減税措置と補助金制度のうち、補助金制度が今年9月で終了するからで、自工会の志賀会長も「10月以降の反動減が懸念される」としています。また、志賀会長は「足元の為替相場が1ドル87円台で推移していることから大変危惧している。このような状況では輸出の悪化が避けられず、さらに中長期的には海外での生産も考えざるを得なくなる」と補助金終了による反動減だけでなく、円高による輸出減がダブルで国内生産に影響を与えることを危惧しています。
志賀会長は定例記者会見で「日本経済が緩やかな回復基調にある中で、自動車の生産台数が減少することで景気に悪影響を与えるということは避けなくてはならない。政府におかれては景気の動向を注視し、必要な対策を打って頂きたい」と強い口調で訴えかけました。
税理士が顧問先の国税の申告書の記載内容を保障するために確定申告書に書面を添付する、書面添付制度の事務運営指針を国税庁が改正しました。これまで無かった「税務調査に移行するときの手順」が示されています。
書面添付制度の最大の特長は、税理士が確定申告書の記載内容を保障する書面を添付して申告してきた場合、税務署は、まず、その税理士にお伺いを立てて税務調査に着手しなければならないことになっていることです。同制度が導入されたことで面倒な手続きが増えたことから国税庁は、細かな事務運営指針を作成して全国の国税局・税務署に統一的な取り扱いを指示していました。
その事務運営指針をこのほど国税庁が改正したわけです。これまでは、申告書の内容を保障した書面が添付されていた場合、その書面を添付した税理士に対して意見聴取を行うわけですが、事務運営指針には「調査に移行しない」ときの手順だけしか規定されていませんでした。今回の改正で新たに「調査に移行する」ときの手順が明らかにされました。
改正された事務運営指針によると、調査に移行する場合は「納税者に対する事前通知を行う前に、税理士に対して意見聴取を行い『調査に移行する』旨の連絡を口頭(電話)で行うこと」としています。また、「この場合において、税理士等に対する意見聴取結果の連絡と併せて税理士に対して(書面で)事前通知を行うこととしても差し支えない」と規定しています。適用は、7月1日からです。
国税庁が、今年3月末までの1年間で全国の税務署が受け付けた相続税の物納の申請件数を公表しました。昨年から再び下落傾向を示した路線価の影響がクッキリと表れています。
国税は現金一括納付が原則ですが、相続税については、財産課税という性格上、延納(分割)によって金銭で納付することが認められているだけでなく、その延納でも納付が困難な場合には、相続した財産そのものを納める物納が認められています。
国税庁の調べによると、今年3月末までの1年間に相続税の物納申請は727件(対前年度比104.2%)で、金額にすると654億円(対前年度比116.0%)にのぼりました。件数、金額ともに前年よりも増加しています。これに対して、税務署が物納を受け入れた処理件数は914件(対前年度比103.9%)で、金額的には912億円(対前年度比 110.6%)と、こちらも増加しました。処理未済は490件(対前年度比72.4%)で、金額的には392億円(対前年度比60.3%)です。
物納申請が増える原因は、相続税の土地評価額算定の基礎である路線価の変動が大きく影響します。というのも、相続税の申告期限は相続開始後10ヶ月以内とされていて、その間に土地の価額が下落するときには、わざわざ相続した土地を売りに出して現金化するよりも物納した方が手数もかからないし、金額的にもお得だからです。
平成21年分の相続税の路線価は下落傾向を示しましたが、今年7月1日に国税庁が発表した平成22年分の相続税の路線価も、標準宅地の全国平均額が1平方メートル当たり前年比8.0%下落(前年は5.5%下落)して12万6,000円となりました。今年度はさらに物納が増える可能性があります。