土地の相続税の評価額算定の基礎となる路線価について、国税庁が平成22年度分は7月1日(木)に発表する予定です。今回は国土交通省の地価公示価格が全国的に下落したため、相続税を物納する人が増えそうです。
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国税庁では、相続税・贈与税の土地などの評価額算定に用いる路線価について平成22年分は7月1日に公表する予定ですが、全国的に下落傾向を示すことが予測されています。というのも、路線価は、国土交通省が毎年3月に発表する地価公示価格、売買実例価額、そして、不動産鑑定士などの地価事情精通者の意見価格を基にして毎年改定されているからです。
国土交通省が今年3月23日に公表した2010年1月1日時点における全国2万7,804地点の地価公示価格は、前回の2009年の地価公示価格に比べ、99.6%の地点において下落しています。しかも、年間平均変動率は、全国の全用途平均が4.6%下落し、昨年の3.5%の下落に比べ1.1ポイント下落幅が拡大しました。各地域、各用途ともに下落幅は対昨年比で大きくなっていて、地方圏よりも三大都市圏、住宅地よりも商業地の方がより拡大傾向にあります。
土地の相続税は、原則として相続が発生した時点で評価することになっていて、その時点から10ヵ月後に相続税の申告をすることになっているため、地価が下落すると相続した土地を売却して換価するよりも土地そのもので相続税を納める物納を選択した方がお得です。そこで、今回は相続税を物納する人の増加が予測されています。
このほど、国税庁が今年3月31日までの国税の電子申告システム(e‐Tax)の利用状況を取りまとめました。それによると対前年比116%と順調に増加しています。
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e‐Taxは、自宅や会社にあるパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告や各種届出、納税まで行える便利なシステムです。現在、政府が行なっている事業仕分けでは、各省庁の電子申請システムの利用者が少ないことが問題視されていますが、e‐Taxについては利用者が増加傾向にあることからシステムは維持される方向です。
今回、国税庁が取りまとめたe‐Taxの利用状況においても、オンライン利用拡大行動計画の重点15手続きの利用件数は1,658万件と順調に増加していて、他省庁とは比べ物にならない数字をはじき出しています。
主な手続きの利用件数を見てみると、所得税申告は784万件(対前年比128%)、法人税申告127万件(同130%)、個人の消費税申告55万件(同124%)、法人の消費税申告145万件(同130%)、法定調書137万件(同127%)といった具合です。
利用者が拡大している要因について、国税庁では「第三者作成の添付書類の送付を不要とした」ことや「税理士による代理送信の場合、納税者本人の電子署名の省略を可能にした」こと、さらには、「所得税の電子証明書等特別控除の適用期限が延長された」ことなど、利用拡大環境の整備が効果をもたらしていると見ています。
このほど、滞納者から税務署が差押えた財産を換価するときの公売の見積価額の決定に関する取扱いを国税庁が改正しました。その内容について、広く国民から意見を求めています。
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今回の改正は公売に付される財産の見積価額の決定に関するものだけに、無視できないものがあります。
主な改正事項としては、「公売財産の評価等に関する解釈の明確化」として見積価額の決定に当たって、価格形成要因に市場性減価や公売特殊性減価を適切に反映させるといった取扱いが盛り込まれました。「公売特殊性減価」とは、高等裁判所の判決に従ったもので、基準価額のおおむね30%程度の範囲内で減価するとしています。
公売には通常の売買と異なる特有の不利な要因として、「滞納処分のために強制的に売却されるため、いわば因縁付財産であり、買受希望者にとって心理的な抵抗感があること」や「公売財産の買受人は、瑕疵担保責任を追及することができず、また、原則として買受け後の解約、返品、取替えをすることができない上、その財産の品質、機能等について買受け後の保証がなく、税務署長は公売した不動産について引渡義務を負わないほか、公売手続に違法があった場合は一方的に売却決定が取り消されること」といった特殊性があります。高裁は、その特殊性を考慮したわけです。
また、複数回にわたって公売に付しても入札がなく、これ以上公売に付しても入札が見込まれない場合は、国税徴収法の規定にある差押えの解除に該当するとされました。
資産家の遺産相続でよくある相続分の売買について、このほど国税庁が、不動産取引で認められている登録免許税の軽減措置は適用できないという見解を示しました。法務省の照会に答えたものです。
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不動産取引で「売買」を登記原因とする土地の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、原則として1,000分の20とされています。しかし、現実には、租税特別措置法で「平成23年3月31日までに登記を受ける場合は、1,000分の10」などの軽減税率が適用できることになっています。
この措置法の趣旨は、あくまでも土地取引の活性化等を目的として登録免許税を軽減をするもので、その対象となる「土地の売買」とは、土地そのものを売買の目的とする場合に限られると法務省では考えていました。
この措置法の趣旨は、あくまでも土地取引の活性化等を目的として登録免許税を軽減をするもので、その対象となる「土地の売買」とは、土地そのものを売買の目的とする場合に限られると法務省では考えていました。
東京都が肝臓機能障害の身体障害者手帳を持っている都民に、自動車税と自動車取得税の減免制度があることをPRしています。
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自動車税は、毎年4月1日現在の自動車の所有者に課税される地方税です。自動車を使用する人に道路の整備費を負担してもらうことなどを目的として課税されている税金です。原則として自動車税は、自動車の排気量によって税率が変る仕組みになっていて、例えば、総排気量が1.5?超2?以下の自家用車には39,500円が、営業用車両については9,500円が課税されます。一方、自動車取得税は、自動車の取得に対して課税される地方税です。自動車の取得価額に一定の税率を乗じた金額が課税される仕組みになっていて、その税率は、自家用車が5%、営業用車両と軽自動車が3%とされています。なお、平成30年3月31日までは、取得価額が50万円以下の自動車は非課税です。
こうした自動車税と自動車取得税について、東京都では、肝臓機能障害の身体障害者手帳を持っている都民について、一定の要件を満たす場合、両税を減免する制度を設けています。具体的には、減免対象となる等級が「肝臓機能障害1級から4級までの各級」に指定されている都民で、減免額は、自動車税が年額45,000円まで。自動車取得税については課税標準が300万円相当分までを減免しています。
注意しなければならないのは、申請期間が毎年4月1日から5月31日(納期限)までとなっていることです。この期間内であれば、自動車税は平成22年度課税分から、自動車取得税は平成22年4月1日取得分から適用されます。もし、期限を経過して申請した場合は、翌年度からの適用となります。申請は、都税事務所、または、動事務所の支所、支庁、自動車税事務所、都税総合事務センターに必要書類を提出することになっています。
名古屋国税局が、平成24年に開催される第67回国民体育大会「ぎふ清流国体」と第12回全国障害者スポーツ大会について、そのスポンサー企業などに税の優遇措置の適用を認めました。
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「輝け はばたけ だれもが主役」をスローガンに「ぎふ清流国体」と「ぎふ清流大会」が、平成23年から平成24年にかけて岐阜県で開催されます。両大会を成功させるには、民間企業や団体、個人からの支援と協力が必要不可欠です。ところが、税法上、企業が特定の団体に資金提供などを行なうと寄付金課税や交際費課税が発生することになっていて、それでは両大会に対する支援がスムーズに得られません。そのため、両大会の実行委員会では、名古屋国税局に対して、支援してくれる企業や団体について税の優遇措置の適用を可能にすることを要望していました。
このほど、名古屋国税局はその要望に対して、企業などが「ぎふ清流国体」等へ協賛するために支出する費用について、「広告協賛費用は、分割払いによる複数の資金提供時期及び個々の広告宣伝に係る広告宣伝期間の相違にかかわらず、その総額を広告宣伝の開始日である契約締結日から平成24年12月31日までの期間を基礎として期間配分し、広告協賛者の損金の額又は必要経費に算入して差し支えない」と回答しています。また、「物品協賛者が広告宣伝を目的として、実行委員会へ社名入物品等を無償で提供するために支出する費用(その社名入物品等の搬入及び据付に要する費用を含む)については、その総額を広告宣伝の開始日である契約締結日から平成24年12月31日までの期間を基礎として期間配分し、損金の額又は必要経費に算入することとして差し支えない」としています。
このほど、タックス・ヘイブンに指定しているカリブ海のケイマン諸島から、税逃れを企てている日本の企業や個人の情報を取り寄せるときのその関連税目が決まりました。
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タックス・ヘイブンとは、海外からの投資や企業進出を呼び込むために、法人税などの税率をゼロまたは低水準に設定している国のことです。日本からみれば、国内企業がタックス・ヘイブンへ転出してしまうと、これまで入ってきていた税収が外国に流出することになるため、租税特別措置法で法人税率が25%以下の国をタックス・ヘイブンに指定し、国内の法人税率との差額分を追加課税してきた経緯があります。しかし、主権の壁があり、現実的にはタックス・ヘイブンにある国内企業や個人の情報入手は困難を極めているのが現状です。
カリブ海のケイマン諸島もそのタックス・ヘイブンに指定されている国のひとつで、平成20年12月、ケイマン政府は外国税務当局からの要請に基づく情報提供を可能とする国内法を制定。平成21年3月、日本もその情報提供対象国の一つに選定されました。以来、ケイマン税務当局と日本の国税庁が対象税目の確認などの準備作業を進めてきたわけですが、このほど、情報提供要請の実施手続が整い、日本の国税庁はケイマン税務当局に対して所得税、法人税、相続税、贈与税に関する情報提供要請が行えるようになりました。
平成22年度税制改正関連法が国会で成立したことを受け、全国の自治体が地方税法の改正に伴う税制関係条例を公布しました。特に大阪府では、ガソリン税の暫定税率の見直しについて府民に注意を呼びかけています。
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揮発油(レギュラーガソリン)や軽油には、いわゆるガソリン税が課税されますが、平成22年度税制改正では、そのガソリン税に上乗せされている暫定税率が一定の条件のもとで維持されることになりました。
その一定の条件を講じた措置とは、揮発油の「平均小売価格」の変動に応じて、「軽油引取税の税率の特例規定」の適用停止・適用措置と呼ばれるものです。
現在、「軽油引取税の税率の特例」については、当分の間、1キロリットルにつき3万2,100円とされていますが、揮発油の平均小売価格が、3ヶ月連続して160円を超えた場合は、「その旨を財務大臣が告示した月の翌月の初日から軽油引取税の税率が1キロリットルにつき1万5,000円になる」としています。一方、揮発油の平均小売価格が、3ヶ月連続して130円を下回った場合は、「その旨を財務大臣が告示した月の翌月の初日から軽油引取税の税率が1キロリットルにつき3万2,100円になる」という仕組みになっています。
政権与党の民主党は、昨年8月の衆議院選挙でガソリン税の暫定税率廃止をマニフェストに謳っていましたが、結果的には暫定税率を維持しました。しかも、ガソリンの小売価格の変動で税率が変わるという複雑な形にしたことから、大阪府では府民が誤解しないよう今回の措置の内容について周知徹底を図っています。