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インボイス発行事業者登録申請書(旧様式)の電子申請の受付終了について

インボイス制度において適格請求書を発行するには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録番号(T+13桁の数字)を取得する必要があります。
申請書の提出方法には、書面で郵送する方法と、税務会計ソフト等で作成した申請書のデータをe-Taxによって電子申請する方法があります。
今年4月、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の一部に変更が加えられました。
その後も変更前の様式(旧様式)で提出することは認められていたのですが、今年10月、e-Taxによる旧様式の受付終了が、e-TaxのWebサイト上で告知されました。
これにより、令和4年10月11日以降、e-Taxによる電子申請は新様式でなければ提出することができなくなっています。

■「適格請求書発行事業者の登録申請書」の様式変更

「適格請求書発行事業者の登録申請書」の受付が開始されたのは昨年10月ですが、今年4月、この申請書に「納税管理人」等に関する質問項目が新たに加わり、受付期間の途中から新しい様式による運用が始まりました。
現在、国税庁のWebサイトには新様式のみが掲載されています。
(参考)国税庁:適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/invoice_01.htm

新様式に追加された項目

追加された質問項目は、登録申請書(全2枚)のうち2枚目の「登録希望日」と「納税管理人」に関する質問です。

【追加された質問項目の内容】

免税事業者が申請する場合のみの記載欄となります。
続いて「納税管理人」とは、日本国内に拠点のない法人や個人事業主の代わりに日本での税務手続きをする人をいいます。
「納税管理人の届出」とは納税管理人を定めた場合に納税地の税務署に提出しなければならない「消費税納税管理人届出書」のことを指します。
追加項目の新設理由は、免税事業者による経過措置の見直し、特定国外事業者(事務所及び事業所等を国内に有しない国外事業者)以外の者で納税管理人が未届出である者に対する登録拒否の見直しなど、令和4年度税制改正におけるインボイス制度の改正に伴うものと考えられます。

電子申請(e-Tax送信)できるのは新様式のみ

前項のとおり、追加された質問項目は、すべての事業者に関係するものではありません。
追加された質問項目を使用する必要のない事業者であれば、旧様式で提出することも可能でした。
しかし今年10月4日の国税庁からの発表によって、10月11日以降にe-Taxによって電子申請ができる申請書は、新様式のみとなりました。
かなり急な発表であったため、10月11日以降も新様式に対応できていない税務会計ソフトがあるようです。
お使いの税務会計ソフトから登録申請を電子申請で予定されている場合は、新様式であるかどうかを確認しましょう。
2枚目に前項の追加質問があれば新様式です。

■登録申請の基本事項

登録申請書の提出先

「適格請求書発行事業者登録申請書」の提出先は、各国税局に設置されたインボイス登録センターになります。
管轄地域から提出先のセンターを確認しましょう。
(参考)国税庁:各局(所)インボイス登録センターの管轄地域
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_yuso.htm

登録申請書の提出方法

以下の2つです。

処理期間の目安は、書面提出の場合は約1か月半、e-Tax提出の場合は約3週間とされています。(参考)国税庁:インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/zyuyo_oshirase/syorikikan.html

登録申請書の提出期限

令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けるには、原則として令和5年3月31日までに提出する必要があります。

【インボイス制度】国税庁の「事前準備の基本項目チェックシート」

国税庁のWebサイトにおいて、インボイス制度のための「事前準備の基本項目チェックシート」が公開されています。

■国税庁による「事前準備の基本項目チェックシート」とは

インボイス制度に対応するには、買い手に対して適格請求書を発行する「売り手側」としての対応と、適格請求書から仕入税額控除を受ける「買い手側」としての事前準備が必要です。
インボイス制度開始までのカウントダウンが始まり、企業が行うべき事前準備についてはすでにさまざまな情報が飛び交っているところですが、これらの情報に対して企業は「これは買い手としてやることなのか、それとも売り手としてやることなのか」を最終的には整理した上で実施することとなります。
国税庁のチェックシートは、インボイス制度に向けて必要となる事前準備を、買い手・売り手の立場に分けたチェック項目でまとめたものになります。
情報を整理しながら対応に見落としがないか確認しやすい資料ですので、準備途中の方はぜひ活用しましょう。
参考までに、チェック項目の内容はおおむね下記のようなものとなります。

【売り手側としての準備】

【買い手側としての準備】

実際のチェックシートにはチェック項目ごとに補足説明がありますので、気になる項目があれば国税庁のWebサイトからご確認ください。
国税庁:インボイス制度への事前準備の基本項目チェックシート
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-057.pdf

インボイス制度で売上高に積上げ計算を適用する時の注意点

買い手と売り手の対応として共通するものに、割戻し計算と積上げ計算の選択があります。
割戻し計算と積上げ計算とは、消費税の売上税額・仕入税額の計算方法のことです。
現行法では、適用要件を満たしていればどちらの計算方法を選択しても構わないのですが、インボイス制度では売り手として「売上税額」に「積上げ計算」を適用する場合、「仕入税額」でも「積上げ計算」を適用しなければなりません。
売上税額に積上げ計算を適用すると、端数処理の関係から売上税額の計算に有利に働く可能性があるのですが、インボイス制度では仕入税額も積上げ計算にしなければならない手間を考慮した上で選択する必要があります。

売上税額 仕入税額
割戻し計算 積上げ計算or割戻し計算
積上げ計算 積上げ計算
(割戻し計算は適用不可)

仕入税額の積上げ計算は「帳簿積上げ計算」とすることもできます。
「帳簿積上げ計算」とは、帳簿に記載した金額から仕入税額を計算できる方法で、取引回数が多い場合や同じ業者と何度も取引をすることが多い場合に検討する価値があります。

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