令和3年分年末調整についての変更点・確認点まとめ

令和3年分年末調整の期限関係

年末調整による源泉徴収税(源泉所得税及び復興特別所得税)の納期限

・一般の事業者
令和4年1月11日(火)
・納期の特例の承認を受けている事業者(7月分〜12月分の源泉徴収分の納税)
令和4年1月20日(木)

法定調書関係の提出期限

令和4年1月31日(月)
【法定調書の提出範囲】
上記の期限までに、税務署に、法定調書合計表と各法定調書(源泉徴収票、支払調書などのうち提出範囲に該当するもの)を提出します。
役員給与の源泉徴収票の提出範囲は、年間の給与の支払総額が150万円を超えるものですので、従業員(500万円)とは異なることにご注意ください。
また、2か所に勤務する従業員などで、扶養控除等申告書の提出がない方(乙欄・丙欄の適用者)は、50万円を超える場合に提出が必要になります。

給与支払報告書等の提出期限

令和4年1月31日(月)
【提出先】
総括表・給与支払報告書(個人別明細書)・普通徴収切替理由書などを、各従業員の令和4年1月1日時点の住所地が所在する市区町村宛てに提出します。
税務署に提出する源泉徴収票と異なり、すべての従業員分を提出する必要があります。
退職者については、支給額が30万円を超える場合に提出義務が生じますが、課税の公平性の観点から、金額にかかわらず提出することを求めている自治体が多いです。

令和3年分の年末調整の前年からの変更点

押印義務の廃止

令和3年度税制改正によって、令和3年4月1日以降に提出する税務書類の押印義務が廃止されています。
これにより、年末調整などの関係で税務署に提出する書類や、会社が従業員から提出を受ける、「給与所得者の扶養控除等申告書」などの、いわゆる年調関係書類の押印も不要となりました。
【(参考)押印義務廃止の例外となる書類】
・担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
・相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

年末関係書類のデータ提出に対する事前承認不要

給与の支払いを受ける者から会社に提出する以下の年調関係書類を、書面ではなくデータで提出する際、税務署長の承認が不要となりました。
・給与所得者の扶養控除等申告書
・給与所得者の基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除申告書)
これらをデータで提出する場合、保険会社からデータで交付された控除証明書もハガキ等ではなくデータで会社に提出することが認められます。
ただし、データ提出ができるのは、あくまで会社側が、データで受け取って適正に年末調整ができる環境が整っている状況に限られます。
年末調整手続きの電子化をしていない会社は、書面提出を従業員に呼びかけておく必要があるかも知れません。

e-Taxよる申請等の拡充

これまでe-Tax によって送信できない申請等の書類は、税務署に書面で別途提出する必要がありましたが、書面をスキャナにより読み取ってPDFで作成したイメージデータでも送信できるようになっています。
イメージデータの送信は、e-Taxソフトや、対応する市販のソフトから行うことができます。
年末調整手続きで役立つ機会は少ないかも知れませんが、法人税や所得税の申告において、これまで書面で提出していたものがある時は、イメージデータで申告できないかどうかを確認してみるとよいでしょう。
(参考)国税庁e-Tax:イメージデータにより提出可能な添付書類
https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/tetsuzuki6.htm

令和3年分の年末調整で確認しておきたい近年の改正点・注意点

新型コロナ関係の給与課税に漏れがないか

令和3年1月に、国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」が公開され、在宅勤務に関して行う従業員への金銭・物品支給の課税に対する方針が示されました。
給与課税の対象となるものとして注意したいものは、主に以下の内容です。
【給与課税が必要になる主なもの】
・毎月5,000円など渡切りで支給する在宅勤務手当(問1)
・事務用品(パソコン等)を現物支給した場合(問2)
 →「貸与」なら非課税
・環境整備に関する物品(間仕切り、カーテン、机、空気清浄機など)の現物支給(問3)
 →「貸与」なら非課税
・感染予防として自己の判断によってホテル等に宿泊した場合の利用料(問10)
 →ホテルで業務をすることを会社が認めている場合は非課税
・自己の判断によって発生した消毒費用やPCR検査費用(問11)
 →業務上必要なスペースの消毒や、会社の業務命令で受けたPCR検査であれば非課税
・食券の支給は、食事の現物給与の通達に従って課税(問12)
 →従業員から50%以上相当額を徴収し、かつ、企業の負担額が月3,500円以下なら課税しなくて差し支えない
課税漏れがないか、今一度、チェックしてみましょう。
(参考)国税庁:在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
上記のほか、労働基準法第26条の規定によって、使用者の責に帰すべき事由によって休業した場合に支払う「休業手当」も、給与課税の対象になります。

法定調書のe-Tax等による提出義務化について

令和3年1月1日以に提出する法定調書(源泉徴収票、支払調書など)について、法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった法定調書の提出枚数が100枚以上であれば、e-TaxまたはCD・DVDなどの光ディスク等による提出が必要です。
「法定調書の種類ごとに」・「前々年」ですから、たとえば令和2年1月に提出した「給与所得の源泉徴収票」の枚数が「100枚以上」であった場合、今回提出する「給与所得の源泉徴収票」は、e-TaxまたはCD・DVDなどの光ディスク等によって提出することになります。
(参考)国税庁e-Tax:法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について
https://www.e-tax.nta.go.jp/hoteichosho/hoteichosho_gimuka.htm

給与所得控除額などは最新のものを

令和2年分の年末調整において、基礎控除や給与所得控除額など、すべての人に関わる大きな改正がありました。
年末調整をする際は、必ず給与計算ソフトを最新のものにアップデートしてから計算するか、最新の年分の「年末調整のしかた」を使うようにしましょう。
国税庁:令和3年分 年末調整のしかた
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2021/01.htm

その他

法定調書などを電子申告したい場合の手続きについて

法定調書や法定調書合計表の作成・提出は、国税庁のe-Taxソフトで行うことができるほか、地方税のシステムであるeLTAXから、源泉徴収票(税務署提出)と給与支払報告書(各市町村に提出)を一括作成できるようになっています。
(参考)地方ポータルシステムeLTAX:給与支払報告書、公的年金等支払報告書及び源泉徴収票の電子的提出の一元化について
https://www.eltax.lta.go.jp/news/00303
いずれの方法でも、初めて利用する際は、利用開始のための手続き(電子証明書の取得など)が必要です。
土日祝や年末年始など、システムが使えない日や時間帯がありますので、早めに手続きをしておきましょう。
(参考)国税庁e-Tax:ご利用の流れ
https://www.e-tax.nta.go.jp/start/index.htm
(参考)地方ポータルシステムeLTAX:eLTAXのご利用の流れ
https://www.eltax.lta.go.jp/eltax/gaiyou/flow/

マイナンバー(個人番号)の提供を受ける場合の本人確認書類

従業員からマイナンバー(個人番号)の提供を新たに受ける場合は、「番号確認書類」と「身元確認書類」で本人確認を行います。
マイナンバーカードであれば、表面と裏面で、番号確認書類と身元確認書類の両方に該当します。
通知カードの場合は、番号確認書類にはあたりますが、身元確認書類にはなりませんので、もう一点、運転免許証、パスポートなどを確認します。 写真表示のない身分証明書を身元確認書類とする場合には、2種類必要になります。

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