仮想通貨の確定申告が必要になるラインや計算方法などを解説

確定申告に関するご質問の中で、仮想通貨に関する税金のお問い合わせをいただくことがあります。
2019年のビットコインの値動きを見ると、年初は40万円台に始まって一時は100万円を超える価格となったようです。
これほどの値動きがあると、たまたま買って利益を得てしまったという方が出てきてもおかしくありません。
仮想通貨は、その利益の額が申告をしなくてもよいラインを超えなければ、税金はかかりません。
しかし、そのラインを「20万円以下」と思っていらっしゃる方がいますが、これは正確ではないので注意が必要です。場合によっては、1万円でも申告しなければならないことがあります。
また、このラインがより複雑になるのは、収入のない方、たとえば専業主婦の方などです。所得税はかからなくとも、住民税だけかかるケースがあります。さらにこうした方がトレードを行う際は、仮想通貨から生じた利益によって、夫が受けられる税金の控除に及ぶ影響も知っておく必要があります。
今回は、仮想通貨の税金について、確定申告をしなくてもよいラインや、仮想通貨の所得の計算方法などを解説します。

■仮想通貨に税金がかかるのはどのような時か

仮想通貨から所得(利益)が生じるのは、
・仮想通貨を売ったとき
・仮想通貨で買い物をしたとき
・他の銘柄と交換したとき
・マイニングによって取得したとき
です。
所得の額が、申告しなくてもよいラインを超えた場合、確定申告を行わなければなりません。確定申告を行うことで、申告した所得に、所得税等や住民税が課されます。
なお、購入した仮想通貨を個人でもっているだけであれば、税金はかかりません。

■確定申告をしなくてもよいラインとは

給与所得者の場合は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、確定申告は扶養です。
給与所得者とは、会社員、パート従業員、アルバイトの方など、勤め先から給与をもらっている方をいいます。
仮想通貨の所得は、原則「雑所得」(※)に区分されますが、仮想通貨の所得だけが20万円以下であれば良いわけではなく、仮想通貨以外の雑所得や譲渡所得、一時所得といったものも含めて20万円以下でなければ、申告不要とはなりません。
ですので、他の所得によっては、たとえ仮想通貨の利益が20万円以下でも申告が必要になることがあります。
また、年収が2,000万円を超える方、給与を2箇所以上から受け取っている一定の方など、もともと確定申告が必要な方もいます。
こうした方は、仮想通貨の利益がいくらであっても申告しなければなりません。
給与所得者でない方(専業主婦の方など)の場合は、1年間の所得が基礎控除38万円を超えなければ、確定申告は不要です。それを超える場合は個別判断となりますが、所得控除が他にないようでしたら、申告が必要になるものと考えてください。

(※)事業として行う仮想通貨の取引や、事業所得の基因となる行為に付随した仮想通貨の取引である場合は、事業所得にできる場合があります。事業所得としたいときは、税務署や税理士にご相談ください。

住民税の申告に注意!

会社の年末調整を受けたり、確定申告をしたりすれば、住民税の申告は不要です。
しかし、上記のラインにおさまって確定申告をしない場合、住民税の申告のみが必要になるケースがあります。
まず給与所得者で、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下の方で確定申告をしなかった場合、住民税の申告は必要です。
また、給与所得者でない方は、住民税の基礎控除は33万円ですので、これを超えれば38万円以下であっても住民税の申告が必要になります。 住民税の申告方法や様式は、申告先の市区町村に確認しましょう。

■仮想通貨の所得の計算方法

仮想通貨の所得は、次の式で計算します。

・仮想通貨を売ったときの所得

【計算式】
仮想通貨の売却価額−売却した仮想通貨の取得価額など

・仮想通貨で買い物をしたとき

【計算式】
商品の購入価額−支払った仮想通貨の取得価額など

・他の銘柄と交換したとき

【計算式】
交換銘柄の購入価額−支払った仮想通貨の取得価額など

・マイニングによって取得したとき

【計算式】
取得時の仮想通貨の時価−マイニングに要した費用

マイニングとは、仮想通貨のデータを計算し取引を記録する専門的な作業のことです。
この項目は、マイニングの報酬として入手する仮想通貨の課税関係の話ですので、トレードだけ行っている人には関係ありません。

仮想通貨の取得価額

上記の計算式から、仮想通貨の所得は、「仮想通貨の取得価額」がいくらになるかで大きく変わることが見えてくると思います。
取得価額の計算方法は、まず仮想通貨1単位あたりの平均単価を計算し、それに売却した(支払った)仮想通貨の数量をかけて計算します。
たとえば、2ビットコインを100万円で売却した場合、保有するビットコインの平均単価が1ビットコインあたり70万円であれば、取得価額は140万円(70万円×2ビットコイン)となります。
取引所に支払った購入手数料があれば、その額も取得価額に含めます。

平均単価の計算方法

平均単価の計算方法には、総平均法と移動平均法の2つがあります。
どちらが税金上有利というのはありませんが、購入・売却を繰り返しているケースでは、総平均法の方が計算の負担が少なくてすみます。
また法改正によって、現在、法定の評価方法は「総平均法」とされ、変更には届け出が必要になります。(所得税法施行令第119条の4、第119条の5)
総平均法とは、1年間を通じて、同じ銘柄の購入総額から平均単価を計算する方法です。
国税庁の過去のFAQに、年間取引報告書を活用した計算の様式が掲載されているので、計算の参考にされるとよいと思います。

国税庁「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて」問9
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_02.pdf

取得価額以外の必要経費

取得価額以外にも、売却に必要な費用の支払いがあれば、それを「必要経費」として売却価額から差し引くことができます。
たとえば、取引所などに支払った売却手数料のほか、要件を満たせば、パソコンの購入代金やインターネット料金なども差し引くことが可能です。
ただし、個人で購入したパソコンなどは、私的な用途を兼ねることが多いものです。
必要経費とするには、「仮想通貨の売却のために直接必要となる金額」を、私的な利用部分と区分しなければなりません。
判断がむずかしいところですが、必要経費にできれば、税負担もその分下がります。
必要経費の範囲は、税理士にご相談されることをおすすめします。

■仮想通貨と扶養控除・配偶者控除の注意点

仮想通貨の収入によって、扶養控除や配偶者控除といった税金の控除が受けられなくなり、ご家庭の税負担が上がるというケースもあります。
まず扶養控除は、控除の対象になる扶養親族の所得が、38万円以下でなければ受けられません。
配偶者控除・配偶者特別控除については、控除を受ける「本人」と控除の対象となる「配偶者」のそれぞれの所得で、控除が受けられるかどうかが決まります。
配偶者控除・配偶者特別控除の控除額は、最大38万円(※)ですが、
・「本人」の所得が900万円を超える
または
・「配偶者」の所得が85万円を超える
のいずれかに該当すると、控除額は段階的に減少します。
最終的に、
・「本人」の所得が1,000万円を超える
または
・「配偶者」の所得が123万円を超える
のいずれかで、控除額は0円となります。
たとえば、年収103万円ちょうどのパート主婦の場合、その所得は38万円(103万円−給与所得控除額65万円)ですから、仮想通貨で85万円(123万円−38万円)を超える所得が発生すると、その年に夫が受けられる配偶者控除・配偶者特別控除の額は0円になるということです。

(※)配偶者の年齢が70歳以上であれば48万円になるケースがあります。

■まとめ

仮想通貨の所得は、なかなかコントロールできるものではありません。
年末が近づいて、控除の対象になれないと知り「こんなはずじゃなかった・・・」ということが起こりえます。
もし仮想通貨で所得が多くなってしまった方は、必要経費にできるものを見落としていないか、年末までにできそうな節税策がないかなど、税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

こちらの文章は、2019年分の確定申告のために執筆しています。
2020年から基礎控除、給与所得控除額の変更にともない、文中の金額が変わる部分がありますのでご注意ください。

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