●競馬の馬券の払戻金に係る所得区分で通達改正。国税庁がパブリックコメントの結果を公表
今年3月2日から公募していた「所得税基本通達の制定について(法令解釈通達)の一部改正(案)(競馬の馬券の払戻金に係る所得区分)に対する意見」が出そろい、その意見に対する考え方を国税庁が示し終えたことから、6月29日に同改正通達が公布されました。
そもそも競馬の馬券の払戻金については、一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないとされていました。ところが、平成29年12月15日の最高裁判決で「馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」とされたことから、国税庁が通達改正により、その最高裁判決を踏まえた取扱いを新たに明示したわけです。
国税庁ではこの通達改正を行うにあたり、パブリックコメントを公募。全部で23通の意見が寄せられました。
具体的には、「そもそも馬券の払戻金に係る所得区分について、国の独自の見解に基づいて既存の通達を改正し、運用すること自体が恣意的。最高裁の判断を踏まえて案件ごとに適宜判断していくべきであり、本件通達は、改正することなく直ちに廃止すべき」といったものや、「通達改正案は、両最高裁判決で判示されていない内容で、かつ、最高裁判決以外の場合における馬券の払戻金はすべからく一時所得に該当するかのような記載になっており、最高裁判決の理解を離れた国税当局独自の見解であるため、削除すべき」という厳しい内容のものもありました。
これらの意見に対し国税庁は「一連の馬券購入行為が『営利を目的とする継続的行為』に該当すると認められる例外的な場合に限って、馬券の払戻金が雑所得に区分されると解しており、当該考えを明確にするためには、通達改正案は必要と考えています」などと返答しています。