29年度マルサ白書。消費税不正還付の告発件数が過去5年間で最高をマーク

全国の国税局査察部が、今年331日までの1年間で実施した強制調査の状況、いわゆるマルサ白書を国税庁が発表しました。それによると、消費税の輸出免税制度などを利用した消費税の不正還付事案の告発件数が、過去5年間で最高をマークしています。

 

国税庁によると、全国の国税局査察部(マルサ)が平成29年度中において査察に着手した件数は、174件でした。

そして、平成29年度以前に調査に着手した査察事案で、平成29年度中に処理した件数は163件でした。そのうち検察庁に告発した件数は113件、告発率は69.3%となっています。また、平成29年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で135億円。そのうち告発分は100億円でした。告発した事案1件当たりの脱税額は8,900万円となっています。

なお、平成29年度に告発した査察事案で一番多かった業種は、「建設業」の26件で、2番目が「不動産業」の10件でした。

また、消費税の課税売上を課税仕入よりも少なく偽装して不正に還付を受ける消費税受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高いものであることから、積極的に査察を敢行。平成29年度の消費税受還付事案の告発件数は12件で、過去5年間で最高となりました。

さらに、所得税や相続税などを申告していない無申告ほ脱事案についても、申告納税制度の根幹を揺るがすものであることから積極的に強制調査を実施。平成29年度の無申告ほ脱事案の告発件数は21件となり、これについても過去5年間で最高の件数でした。しかも、そのうち平成23年度に創設された単純無申告ほ脱犯を適用した事案は8件でした。