●小池都知事が経済同友会との懇談で政府の平成30年度税制改正を批判
5月10日に東京都の小池百合子知事と経済同友会の小林喜光・代表幹事が都内で懇談会を開き、その席上、小池都知事が「2018年度税制改正で年間1,000億円の税収が都から奪われた」として不合理な改正に理解を求めました。
経済同友会では、今回の小池都知事と小林代表幹事との懇談会について「東京都も含め地方自治体の自立に何が必要か、日本全体の持続的成長に向け、東京が何をすべきか、地方財政や国家財政の視点から建設的な議論をしました」としています。
その議論の中で小池知事は「2018年度税制改正で、地方消費税の清算基準の見直しにより年間1,000億円の税収が都から奪われたと強調。日本の発展のためにも都の活性化が必要とし、経済団体でも議論してほしい」と訴えていたことが分かりました。
地方消費税の帰属地域は、最終負担者である消費者が消費する最終消費地であるべきだと考えられています。そこで、現行制度においては、製造業者や卸売業者の納税地が地方消費税の最終消費地である都道府県と異なる場合は、国が消費税と一緒に徴収した地方消費税を各都道府県に払い込むときに、各都道府県における「消費に相当する額」に応じて「清算(調整)」しています。
その「消費に相当する額」とは、消費に関連した基準によって算出されますが、その基準は@小売り年間販売額(商業統計)、Aサービス業対個人事業収入額、B人口、C従業者数―、についてそれぞれに負担割合が決められています。その割合は@とAの合計額で75%、B17.5%、C7.5%とされていて、この負担割合で「消費に相当する額」が計算されます。
今回の税制改正で、@とAの合計額で75%とされていたものが50%とされ、B17.5%とC7.5%を合わせたものが50%とされたのです。これにより、平成29年度予算で清算基準の変更を当てはめると、東京都は1,000億円の減収となるわけです。
小池都知事の申し入れについて同友会の小林代表幹事は、記者団の前で「地方と東京は対峙するのではなく、全体としてどう最適化できるか議論すべきだ」と述べ、冷静な議論が必要との考えを示しました。