●日本銀行が消費税率10%への引き上げ時の一般家計の負担額を試算

日本銀行がこのほど発表したレポート「経済・物価情勢の展望(2018 4 月)」の中で、201910月に予定されている消費増税で増える一般家計の負担額は2.2兆円で、前回2014年の増税時の4分の1程度にとどまると試算しています。

 

同レポートによると、消費増税で増える一般家計の負担額は1997年に税率が3%から5%に引き上げられた時は「所得減税の打ち切りも重なり8.5兆円の負担増となった」としています。そして、税率が5%から8%に増税された2014年は「給付金などの軽減措置もあったが8兆円だった」そうです。

ところが、2019年に消費税率が8%から10%に上がる際「税率引き上げの直接的な影響は5.6兆円」としていて、しかも、軽減税率で1兆円、教育無償化で1.4兆円、年金額改定で6千億円といった軽減要素が見込めることから、「負担増は差し引き2.2兆円になる」と予測しています。

2019年の税率引き上げで一般家計に与える負担増が、小幅なものにとどまる理由については次のように分析しています。

@    今回の消費増税のタイミングが2019 年度央となるため、駆け込み需要とその反動が、2020 年度では成長率の下押しとなるものの、2019 年度内では均されるほか、実質所得の減少効果も2019 年度と2020 年度で分散して発生するという技術的な要因がある。

A    税率の引き上げ幅は、前回よりも小さく、かつ一部品目には軽減税率も適用される。

B    教育無償化や各種の負担軽減策が講じられる。

C    今回は2回目の増税を見据えた駆け込み需要が発生したと考えられる。

ただし、「消費税率引き上げのインパクトは、その時々の消費者マインドの動向に左右されるなど、不確実性が大きいことに留意する必要がある」と警告しています。