27年ぶりの新税「国際観光旅客税」の創設審議が参議院へ

39日、衆議院本会議で国際観光旅客税法案が賛成多数で可決され、参議院へ送られました。同法案は、海外旅行などで出国する際に一人につき1,000円の国税を課税しようというものです。

 

同法案は、22日に平成30年度税制改正法案とともに国会に上程され、213日衆議院財務金融委員会に付託。23日から審議が行われ、32日の委員会において賛成多数で可決されていました。

具体的には、訪日外国人旅行者や国民が出国する際、11,000円を徴収しようというもので、201917日の施行を目指しています。税目は所得税や法人税などと同じ恒久的な国税で、新税創設は1992年の地価税以来、27年ぶりとなります。

政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年の訪日外国旅行者数を4千万人とする目標を掲げているものの、出入国の円滑化や地域の観光インフラの整備など、訪日客受け入れには多くの課題が指摘されていて、対応するための財源不足で頭を悩ませていました。そこで、同税を創設して使途を「環境整備」「情報発信強化」「体験型観光」の3分野に充てることにしたわけです。

海外の例を見てみると、アメリカが「ESTA」と呼ばれるオンライン渡航認証システムの申請手数料として、外国人旅行者から14ドル(約1,500円)を徴収しています。また、韓国では出国納付金として国内外問わず航空旅客から1万ウォン(約1,000円)を徴収。イギリスやフランスなども航空旅客税などを徴収しています。こうした事例を基に同税の創設検討会は、税額を「1,000円を超えない範囲」と提言していました。

ただ、野党の中には、「与党の選挙公約にもなく、政府税制調査会における議論もなかった。国民の信任が得られていない」などと反発する向きもあります。