●金融機関に口座を新たに開設する場合は届け出が必要になった
一般企業を含む全法人がいま銀行などに新たに口座を開設する際に、居住地国等を記載した届出書の提出が必要であることを国税庁が注意を促しています。この制度は、外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するための国際基準である「共通報告基準(CRS)」に基づくものです。
非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」がOECDで公表され、日本を含む各国がその実施を約束しています。
今回、国税庁が注意を呼びかけている制度もCRSの一環で、平成29 年1月1日からスタートしている制度です。同制度は、新たに国内に所在する金融機関等(銀行、証券会社、保険会社、組合、信託等)で口座開設を行う者(自然人、法人、組合等)に対し、金融機関等へ居住地国等を記載した届出書を提出しなければならないとしているものです。
届出書には具体的に、氏名・住所(名称・所在地)、居住地国、外国の納税者番号などを記載しなければなりません。ただし、法人については、「特定法人」に該当する場合にのみ同届出書を提出することになっています。
特定法人とは、次の@〜Hのいずれにも該当しない法人のことです。特定法人に該当した場合は、その法人の「実質的支配者」の居住地国等についても届出書に記載しなければなりません。
@ 上場法人
A 上場法人の関係法人(子会社・孫会社・ 曾孫会社・兄弟会社)
B 国・地方公共団体・日本銀行・国際機関等
C 前記Bの法人が全額出資している法人
D 収益事業を行っていない公共法人及び公益法人等
E 日本の報告金融機関等
F 外国の報告金融機関等
(※)外国の法令に準拠して設立された一定の投資事業体を除きます。
G 持株会社
(※)子会社の経営管理のみを行うものに限ります。
H グループ金融会社
(※)主として上記Aの関係にある法人に対する出資、融資等を行うことを業務とする法人。