●定期借地権保証金の経済的利益の課税に係る平成29年分の適正な利率明らかに
定期借地権を設定した際に預かった保証金から得られる経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率を、国土交通省が国税庁との話し合いにより決定し、公表しました。
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預かる保証金は、賃借人から返還請求があるまでは、事業投資や金融投資の運用資金に充てることができることになっています。しかし、保証金を無利息で預かっている場合には、経済的利益を受けることになるため、この経済的利益に対して課税する必要性が生じます。
例えば、銀行口座に預金している場合や金銭信託などに運用している場合には、利息等から所得税が源泉徴収されるので経済的利益を気にする必要はありません。しかし、不動産所得や事業所得を生むための資金とした場合や自宅の改修など個人的な目的に使用した場合には、その経済的利益の額をどのように算定するかが問題となります。
そこで、政府は保証金に「適正な利率」を乗じた金額を経済的利益の額と定め、これに所得税を課税することにしています。その適正な利率は、平成29年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によるとされていることから、平成29年分については、0.02%となります。
この結果、保証金が事業等の運転資金や事業用資産の取得資金として運用されている場合について、経済的利益の額の計算に用いられる適正な利率は、平均的な長期借入利率の他、0.02%としても差し支えがないことになります。なお、算出された経済的利益の額は、各年分の不動産所得の収入金額と必要経費に同額ずつ算入されることになるため、課税関係は発生しません。
また、上記の場合に該当せず、かつ、保証金が預貯金や公社債、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のときについては、適正な利率を0.02%として求めた経済的利益の額を、各年分の不動産所得の収入金額に算入することになります。