●国税庁が取り扱いを変更。「ハズレ馬券の購入代金も経費になる場合がある」
このほど国税庁が、競馬の馬券の払戻金に関する税金の取り扱い(所得税基本通達34−1)を改正することを発表しました。平成29年12月15日の最高裁判決に従って改正するものです。
競馬の馬券の払戻金については、かつて法廷の場で国税庁と納税者との間で、馬券の購入が営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否か、という観点で争われました。
結果的に、東京高裁が平成28年9月29日に「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない」とする判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)を下しています。
昨年12月15日の最高裁判決の争点は、競馬の払戻金に対する所得税額を算定する際、当たり馬券だけでなく、外れ馬券の購入代金も経費として算入できるのではないかという点でした。結局、最高裁は「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」と判断しています。
これについて、国税庁は「競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。なお、これに該当しない『いわゆる一般の競馬愛好家の方』につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください」と説明しています。