●税務署の実地調査割合の低下激しく。1法人に対し30年に1回のサイクルに
1月24日に国税庁内で開催された第19回国税審議会に国税庁が提出した資料「税務行政の現状と課題」に、納税している法人に対する実地調査の割合が平成元年は8.5%だったものが、平成28年には3.2%にまで低下しているというデータが記述されています。
そもそも国税審議会とは、外部の有識者20名以内で組織された審議会で、審判所の裁決を国税庁長官が認めない場合における審議を行ったり、税理士試験の受験資格の認定や税理士の懲戒処分等の審議を行う機関とされています。
その国税審議会に提出された今回の資料には、国税庁のマンパワーと複雑困難化する業務のアンバランスな実情が綴られています。具体的には、国税庁の定員は平成元年に5万4376人だったものが、平成5万5667人(2.4%)に増えてはいるものの、国内の法人数は平成元年に235万法人だったものが、平成28年には308万法人(30.8%)にまで増加。
さらに、経済取引の国際化・高度情報化の進展による税務調査の質的困難化も重なり、実地調査の割合は、平成元年に8.5%だったものが、平成28年には3.2%にまで低下しているとしています。実地調査サイクルを単純に計算すると、1法人の実地調査はおよそ30年に1回になると試算しています。
この実地調査サイクルを見て、税務署の税務調査を甘く見てはいけません。同資料には、法人の実地調査件数が平成27事務年度で9万4千件だったものが、平成8事務年度には9万7千件(103.5%)に増え、しかも、この調査による追徴税額も平成27事務年度が1,592億円だったものが、平成28事務年度には前事務年度比108.8%増の1,732億円でした。大口、悪質事案に絞った調査により申告漏れや脱税を把握していることがうかがえます。