●平成29年分の所得税の確定申告で要注意。医療費控除の取り扱いが大幅に変わる

平成29年分の所得税の確定申告期が間近に迫っていることから、国税庁が今回の確定申告における留意事項をアナウンスしています。とくに気をつけなければならないのは、医療費控除の取り扱いが大幅に変わっていることです。

 

 国税庁の調べによると、所得税の医療費控除の適用者数は1839千人(平成17年分)としています。この数は配偶者控除の適用者数(同年分1763千人)を上回っているだけに、国税庁も制度改正による適用ミスに対して非常に神経を尖らせているわけです。

 今回の医療費控除の改正で、まず注意が必要なのは、医療費の領収書の提出・提示が不要になったことです。「医療費控除の明細書」を提出することで適用できるようになりました。健康保険組合などから「医療費のお知らせ」の交付を受けている人については、それを利用して医療費控除の明細書を作成しても構わないとされています。ただし、「医療費控除の明細書」を提出する場合、医療費の領収書については、自宅で5年間保存しなければなりません。

 さらに、平成2911日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等(医師によって処方される医薬品から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用されたスイッチOTC医薬品)の購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(セルフメディケーション税制)を受けることができるようになりました。

 問題は、このセルフメディケーション税制は、通常の医療費控除との選択適用とされていることです。したがって、セルフメディケーション税制を適用する場合は、通常の医療費控除と併せて受けることはできないわけです。

また、これらのいずれかの適用を選択した後に、更正の請求や修正申告によってこの選択を変更することもできないので医療費の額が高額になる方を見極めたうえで選択適用すべきでしょう。