●振り込め詐欺被害者の子供たち支援奨学金制度の給付制への切り替えで国税局が見解示す

公益財団法人日本財団が実施している振り込め詐欺被害者の子供たちを支援する奨学金制度について、貸与制から給付制に切り替えるにあたり、既存貸与者などの債務を免除したりした場合に発生する経済的利益に対して、このほど東京国税局が非課税とする見解を示しました。

 

今回、日本財団が貸与制から給付制に切り替える奨学金制度は、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)に基づく犯罪被害者等の支援事業の担い手として選定された、犯罪被害者等の子供に対する奨学金事業のことです。

この奨学金制度について日本財団では、これまで貸与制だったものを平成2941日から、奨学金の月額を減額した上で、給付制に移行。その際、既に奨学金の貸与を受けて、奨学金に係る債務を有する奨学生及び卒業生等の債務について、給付制下における給付額を上限として返済を免除することにしました。

また、奨学金の減額による奨学生の学生生活への影響を考慮し、給付する奨学金の月額がこれまでの貸与額と同額となるように、日本財団では独自のサポート制度として、貸与額と給付額の差額に相当する金銭を給付制移行後の奨学生に対し毎月給付する「学業支援金」制度を設立しています。

さらに、給付制への移行前後における奨学生間の公平性を考慮し、日本財団では独自のサポート制度として、既存貸与者が、債務免除が行われた後においてもなお奨学金に係る債務を有する場合には、その債務相当額の金銭を既存貸与者に対して給付する「残債分給付金」制度も設立しました。

ここで、問題となったのが貸与制から給付制に移行する際に免除した貸付金の返済額と「学業支援金」や「残債分給付金」が奨学生と卒業生に対する経済的利益として所得税が課税されるのではないか、ということでした。

日本財団では、所得税法第9条《非課税所得》第1項第15号に「学資に充てるため給付される金品は、給与その他対価の性質を有する一定のものを除き、非課税と規定している」ことなどを理由に「いずれも非課税となる学資金に該当する」との見解を東京国税局に示したところ、それに対して東京国税局から「貴財団が説明する事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」との回答がありました。