●日本の資産家が海外に持つ財産は総額で3兆1643億円
このほど、国税庁が平成28年分の国外財産調書の提出状況を明らかにしました。それによると、総財産額は3兆3,015 億円で前年分(3兆1,643億円)よりも約1,400億円も増えています。
国外財産調書の提出制度は、平成26年からスタートしたものです。海外に資産を移して所得税や相続税の課税を免れようとする資産家が増えていることから、その実態を把握するために法律によって「その年の12月31日においてその価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までに当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した『国外財産調書』を、税務署長に提出しなければならない」とされました。
提出状況を国税局別に見てみると、一番多かったのは東京局の5,922件(65.1%、前年分5,792件)で、2番目が大阪局の1,260件(13.8%、前年分1,223件)、3番目は名古屋局の660件(7.3%、前年分673件)となっています。
これを、金額的に見てみると、東京局は2兆4,601億円(74.5%、前年分2兆3,274億円)、大阪局が3,957億円(12.0%、同年分3,927億円)、名古屋局は1,734億円(5.3%、同年分1,793億円)となり、国外財産総額は3兆3015億円にのぼります。
さらに、日本の資産家が国外に持っている財産の種類を見てみると、一番多かったのは「有価証券」(1兆7,093億円、全体の51.8%)で、2番目が「預貯金」(6,015億円、同18.2%)、3番目が「建物」(3,474億円、同10.5%)といった状況です。
なお、この国外財産調書の提出制度には、「提出された調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときは加算税が5%軽減される」などといったインセンティブが設けられていることから、毎年、提出者数が増えています。