●国税庁が平成28年分の相続税の申告状況を公表。またも課税割合膨らむ
このほど、国税庁が平成28年分の相続税の申告状況を公表しました。それによると今回の相続税の課税割合(全死亡者に占める相続税の課税対象者)は、平成26年分の相続税の課税割合と比べると約2倍に膨れ上がっています。
平成28年中(平成28年1月1日から平成28年12月31日)に亡くなられた人から、相続や遺贈などにより財産を取得した人たちの相続税の申告状況を国税庁が公表しました。
それによると、平成28年中に亡くなられた人(被相続人数)は約131万人(平成27年約129万人)で、このうち相続税の課税対象となった被相続人の数は約10万6千人(平成27年約10万3千人)でした。課税割合は8.1%(平成27年8.0%)となっています。
注目したいのは、平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後の相続から基礎控除額が引下げられているということです。具体的には、定額控除が6,000万円から3,000万円に引き下げられ、法定相続人比例控除額も1,000万円から600万円に引き下げられています。
これにより、税理士などが相続税の課税割合について「平成26年が4.4%だったが、基礎控除額の改正後は6%程度に増加する」と予測したものです。ところが実際には、課税割合は8%にまで膨らみ、基礎控除額引き下げの影響の大きさを物語っています。
ちなみに、課税価格の合計は14兆7,813億円(平成27年14兆5,554億円)で、被相続人1人当たりでは1億3,960万円(平成27年1億4,126万円)となっています。また、税額の合計は1兆8,681億円(平成27年1兆8,116億円)で、被相続人1人当たりでは1,764万円(平成27年1,758万円)でした。
さらに、相続財産の金額の構成比は、土地38.0%(平成27年38.0%)、現金・預貯金等31.2%(平成27年30.7%)、有価証券14.4%(平成27年14.9%)の順となっています。