2018年度税制改正大綱決定。日税連から所得課税改革に対し物言いがつく

自民、公明の与党は1214日、2018年度税制改正大綱を正式決定しました。デフレ脱却の鍵を握る企業投資を税制面で後押しするほか、昨年に続く所得税改革として、給与所得控除や年金控除を縮小し、基礎控除に振り替える方針を示しています。

 

今回の大綱で注目されているのは、昨年に続く所得税改革の第2弾です。具体的には、2020年1月から、所得税の基礎控除を10万円引き上げる一方で、会社員と公務員に限られる給与所得控除を10万円引き下げるとともに、その控除額の上限が、年収850万円で頭打ちとなるとしています。

こうした、個人所得課税の改正方針に対して日本税理士会連合会(日税連、神津信一会長)が「高額所得者の基礎控除が消失する仕組みについては、基礎的な人的控除が憲法25条に定める生存権の保障を目的としたものと解されていることを踏まえれば、より慎重かつ丁寧な議論がなされるべきと考えます」と諌めています。

また、多くの中小企業経営者が相続税の負担増に頭を悩ませていることから、事業承継税制について、雇用維持要件を事実上撤廃するとともに、猶予対象となる株式の数や課税価格の制限を撤廃するなど、適用要件が大幅に緩和されるほか、経営悪化により株式を譲渡した場合等における相続税額の再計算の特例が盛り込まれました。これについて日税連は「当会は、ドイツの充実した事業承継税制の視察等を踏まえ、繰り返し適用要件の緩和を建議してきました。今回、それが採用され、過去に例のない改正が行われることを高く評価いたします。この制度の利用により次世代への健全な承継が円滑に行われ、日本経済の底上げに寄与すると確信しており、税理士はその推進役としての責務を負うべきであると認識しているところです」と絶賛しています。