28事務年度贈与税調査に異変。申告漏れ総額が対前事務年度比983.9%に

このほど国税庁が、平成28事務年度(平成287月〜平成296月)における全国の国税局と税務署による相続税調査の状況を発表しましたが、もっとも目立ったのが、贈与税調査における申告漏れ総額が1918億円で対前年比983.9%をマークしている点です。

 

今回国税庁がまとめた相続税調査は、平成26年に発生した相続を中心に、全国の国税局と税務署が行ったものです。

実地調査の件数は12,116件(平成27事務年度11,935件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は9,930件(平成27事務年度9,761件)で、非違割合は82.0%(平成27事務年度81.8%)でした。

申告漏れ課税価格は3,295億円(平成27事務年度3,004億円)で、実地調査1件当たりでは2,720万円(平成27事務年度2,517万円)となっています。一方、追徴税額(加算税を含む)は716億円(平成27事務年度583億円)で、実地調査1件当たり591万円(平成27事務年度489万円)でした。

今回、一番目立ったのが贈与税の調査事績です。平成28事務年度実地調査件数は3,722件(対前事務年度比103%)で、申告漏れ等の非違件数も平成28事務年度は3,434件(対前事務年度比102%)と平年並みでしたが、申告漏れ課税価格が平成28事務年度は1,918億円(対前事務年度比983.9)と急激に増えました。

これは、2016年9月にセンサーや計測機器の大手メーカー「キーエンス」(大阪市東淀川区、東証1部)の創業者、滝崎武光名誉会長の親族が大阪国税局の税務調査を受け、同社株を保有する資産管理会社の株式の贈与をめぐって約1,500億円の巨額な申告漏れを把握した事案が大きく影響した模様です。