●所得拡大促進税制の効果クッキリ。平成28年分民間給与実態統計調査の結果
このほど、国税庁が平成28年分民間給与実態統計調査の結果を発表しました。今回の調査は安倍政権の経済政策アベノミクスで導入された所得拡大促進税制の効果を知ることができることで注目を集めています。
アベノミクスで掲げられた経済政策「三本の矢」が功を奏し、多くの企業が利益を内部留保するようになったことから、所得拡大促進税制されました。内部留保した利益を賃上げにより従業員に還元して、消費を刺激することで景気をよくするために導入されたものです。従業員の給与等の支給総額を、基準年度と前年度より増加させた場合に、その増えた額の10%を法人税から控除できるというのが同制度の概要です。
平成25年度から5年間の時限措置として導入された同制度の効果は、今回国税庁が発表した民間給与実態統計調査の結果にクッキリと表れています。
具体的には、平成28年12月31日現在の民間の事業所の給与所得者数は5,744万人で、前年より98万人(1.7%)増加しました。そして、平成28年中に民間の事業所が支払った給与の総額は207兆8,655億円で、前年から3兆846億円(1.5%)増加しています。
所得拡大促進税制が導入される前年度の平成24年度の給与総額が191兆996億円だったことから、4年間で約8.8%増加したことになります。
一方、1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与(一人あたりの給与)は422万円で、前年に比べて0.3%増加しました。平成24年度の平均給与が408万円だったことから、4年間で14万円(約3.4%)アップしたことになります。
1年を通じて勤務した給与所得者の年間の平均給与を男女別にみると、男性が521万円で、女性は280万円でした。前年に比べて、男性は0.1%増加し、女性は1.3%増加しています。