日本商工会議所が来年度税制改正要望。事業承継税制の拡充などを要望

日本商工会議所(三村明夫会頭)が、920日に「平成30年度税制改正に関する意見」を取りまとめました。一番強く見直しを要請しているのは、現行の事業承継税制です。

 

日本商工会議所の同意見書では、中小企業の活力を最大限引き出す税制の整備が必要と訴えています。そして、中小企業が財政や地域経済に大きく貢献している実態を示したうえで、中小企業の特性を踏まえ、その活力を最大限引き出す観点から、「経営の足かせになっている税制を見直すべき」と主張しています。

具体的には、「大事業承継時代」を乗り切るための税制措置の抜本的拡充や所得拡大促進税制と少額減価償却資産の特例の拡充のほか、商業地等に係る固定資産税の負担調整措置の見直しに対する反対意見が列記されています。

なかでも、注目されているのが事業承継税制の大幅な見直し要望です。まず、企業における経営人材の選定を税制で制限すべきではないとして、先代経営者および後継者における代表者要件、筆頭株主要件を撤廃し、「経営に関与する取締役等が事業承継税制の適用対象となることを検討すべき」としています。

次に、納税猶予開始後5年経過時点で納税を免除するとともに、事業承継期間において、雇用維持要件を満たせなかった場合や猶予対象株式を一部譲渡した場合には、「その割合に応じた納税猶予額分を納付する等の措置を講じるべき」と要請。納税猶予の対象となる発行済議決権株式総数に係る上限は撤廃し、「全ての株式を対象とすべきである」などとしています。

さらに、自社株の生前贈与時における税率軽減や株式評価減制度の創設を求めるとともに、相続税の猶予割合についても100%を要望しています。