●地方消費税の都道府県への分配基準について大阪府が国に提言
大阪府が「平成30年度税制改正に向けた地方消費税の清算基準の見直しに関する提言」を取りまとめて、8月22日に総務省へ提出しました。この要望では、他の大都市でも同様な思いがあるのではないかとして注目が集まっています。
このほど大阪府が総務省に対し「平成30年度税制改正に向けた地方消費税の清算基準の見直しに関する提言」を行いました。
地方消費税は、最終消費者が実質的な負担者となる税です。すなわち、地方団体が域内における消費活動を活性化させれば、それが税収に反映されるのが当たり前。ところが、国が消費税と一緒に地方消費税を徴収しているため、国によって都道府県へ分配(清算)が行われていて、その地方消費税の清算基準については、平成27年度及び平成29年度の税制改正で、小売年間販売額及びサービス業対個人事業収入額から、一定の項目を除外するとともに、代替指標について、人口の割合を引き上げ、従業者数の割合を引き下げる見直しが行われました。
さらに、平成29年度与党税制改正大綱において、「平成30年度税制改正に向けて、地方消費税の税収を最終消費地の都道府県により適切に帰属させるため、地方公共団体の意見を踏まえつつ、統計データの利用方法等の見直しを進めるとともに、必要に応じ人口の比率を高めるなど、抜本的な方策を検討し、結論を得る」とされています。
そこで、大阪府は、将来的には統計調査方法の工夫や消費に関するデータの活用なども含め、都道府県ごとの消費額を正確にとらえる方策を検討していくべきと考えたわけです。ただし、当面の対応として、現行の統計を活用した見直しについて、次のように提言しました。
(1) 統計カバー率を高める
@ 小売年間販売額に新設事業所を追加する補正を加える。
A 平成29年度税制改正で除外した「通信販売・インターネット販売」の額を小売年間販売額に加える。(下記(2)@(ア)により補正)
B 前記@及びAにより、統計カバー率は現行の71.5%から78.3%に上昇するが、これまでの経緯や課税ベースが年度によって変動することに鑑み、統計のウェイトは、現行の75%のままとする。
(2)小売の販売と消費のずれを補正する≪需要側の統計の活用≫
@小売に係る都道府県ごとの消費額は、次の(ア)及び(イ)を合算した額とする。
(ア)商業統計の小売年間販売額について、上記(1)Aで加えたもののうち、販売形態が「無店舗型」の額を、需要側のデータである全国消費実態調査の小売消費額の都道府県別割合で按分した額
(イ)前記(ア)の販売形態が「無店舗型」の額を控除した小売年間販売額を、同小売年間販売額の都道府県別割合と全国消費実態調査の小売消費額の都道府県別割合を平均した割合で按分した額
Aサービスに係る都道府県ごとの消費額は、経済センサス活動調査のサービス業対個人事業収入額の都道府県別額とする。(現行どおり)
(3)代替指標の位置づけを明らかにする≪小売とサービスに区分≫
@全国消費実態調査から推計した小売関係支出とサービス関係支出を参考に、地方消費税の清算基準となる消費に相当する額について、小売に係る額を6割、サービスに係る額を4割とする。
A小売とサービスそれぞれについて、消費に相当する額のうち、統計でカバーできない部分を代替指標で按分する。(前記(2)@の総額及びAの総額の合算額の15分の3を小売の代替指標で、同15分の2をサービスの代替指標で按分する)
(ア) 小売は夜間人口と昼間人口の都道府県別割合を平均した割合で按分する。
(イ) サービスはサービス業に従事する従業者数で按分する。