●相続税の申告者急増で申告ミスも増える。国税庁が住宅ローンなどの債務控除で警告

 平成27年からスタートした相続税の課税強化により、相続税の申告者数は従来の1.8倍に増えたことから相続税の申告でミスリードする納税者が相次いでいます。とくに債務控除に関する勘違いは都市部の税務署で数多く発生しているようです。

 

 国税庁によると相続税の債務控除の申告でミスが多いのが、墓の購入で組んだ借入金と住宅ローンです。

確かに、相続税法では、相続財産の価額から差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものであると規定されています。したがって、墓購入の借入金残高と住宅ローンの残高は被相続人の死亡時に存在していれば、債務控除の対象になると思われがちです。

しかし、墓の借入金残高について国税庁では「被相続人が生前に購入したお墓については、相続税の課税価格に算入されない財産(非課税財産)であることから、その非課税財産の取得に係る未払金(債務)も相続税の課税価格の計算において差し引くことはできません」としています。

一方、住宅ローンについては、住宅金融公庫などから融資を受けた場合、団体引用生命保険に加入することから国税庁では「団体信用生命保険契約に基づき返済が免除される住宅ローンは、被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務ですので、相続税の課税価格の計算上、債務として差し引くことはできません」と説明しています。