●東京商工会議所が中小企業庁に「円滑な事業承継の実現に向けた総合的な支援」を要請

810日、東京商工会議所(三村明夫会頭)が中小企業庁(安藤久佳長官)に「中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見」と「国の中小企業対策に関する重点要望」を提出しました。安藤長官は「経営者年齢も高まっていることから、時限的な期限を区切り、集中的に取り組みたい」と語りました。

 

中小企業の事業承継に係る現状について、東京商工会議所は直近5年間で全国では約40万、東京では約4万事業者が廃業により減少していて、地域経済全体の課題となっているとしています。しかも、廃業企業の5割超が黒字企業で、まさに価値ある事業が失われていると分析しています。

そこで、同会議所は714日に「中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた意見」と「国の中小企業対策に関する重点要望」を取りまとめました。そして、それらをこのほど中小企業庁に提出したわけですが、とくに「円滑な事業承継の実現に向けた総合的な支援」として、事業承継に関する経営者の意識改革に向けて、国による事業承継の機運醸成を図るための徹底的な広報の実施と地方自治体や支援機関、地域金融機関を通じた事業承継ガイドラインの普及などを強く要望しています。

税制については、親族内承継の促進に向けた対策として、株式の円滑な移転に向けた「事業承継税制」と「取引相場のない株式評価」の見直しを求めています。

具体的には事業承継税制では「発行済議決権株式の総数等『3分の2 要件』の撤廃」、「相続税の 納猶予割合100%への引き上げ」、「納税猶予開始後5年経過時点での納税免除」、「代表者要件・筆頭株主要件(被相続人・後継者)の見直し」を要求しています。

一方、国税庁が取り決めている「取引相場のない株式の評価方法」については、財産評価基本通達で原則的な評価方法とされている純資産価額方式に対し「企業の清算を前提とした評価方法に替えて、事業の継続を前提として、配当還元方式の適用拡大など、議決権を多く保有することで生じる配当を重視した評価方法に見直すべきである」としています。