●国税庁が財産評価通達を改正。歩道状空地の評価で新たな取り扱い

大規模の賃貸住宅を建設する人に対し、都市部の自治体などで公道の境界から一定の幅員の空地(歩道状空地)を確保するよう指導するところがありますが、このほど、国税庁がこの歩道状空地の相続税評価について新たな取り扱いを定めました。

 

 歩道状空地に対する相続税評価については、これまで国税庁は建物の敷地の一部として評価してきました。ところが、最高裁判所が今年228日に「本件各共同住宅の建築のための開発行為が被相続人による選択の結果であるとしても、このことから直ちに本件各歩道状空地について減額して評価をする必要がないということはできない」などとして、原告(納税者)の請求どおり私道と同じ取り扱いをすべきとの判決を下しました。

 今回国税庁が定めた取り扱いは、その判決に沿ったものとなっています。そもそも歩道状空地の相続税評価を巡る今回の争いは、国税不服審判所が「問題の歩道状空地について建築基準法上の道路に該当しないため道路内の建築制限を定めた建築基準法第44条の適用を受けるものではない」と認定し、歩道状空地が整備された経緯を辿って「開発行為の許可を受けるにあたり整備を求められていることを了解したうえで整備したもので、自ら使用・収益する権能を制約することを選択したものといえる」から、その「制約は第三者の通行の用に供されている限度にとどまる」と判断したことに対し、納税者が不満を抱いて提訴したものです。

訴状で納税者は、国税不服審判所が「共同住宅を戸建住宅に用途変更する場合において、歩道状空地を廃止することに法令上の制限はないのであるから、相続の開始日において歩道状空地は共同住宅の敷地として意義及び権能を有していたというべき」として、歩道状空地を「貸家建付地として評価するのが相当」としたことは誤りであると指摘していました。

このほど最高裁判所が、原告の請求を認めて歩道状空地を私道と同じように評価すべきとの判決を下したことから、国税庁は財産評価基本通達を改正し、「@都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、A道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであり、B居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されている歩道状空地については、財産評価基本通達24(私道の用に供されている宅地の評価)に基づき評価する」との新たな取り扱いを定めました。