●国税庁が29年分路線価を公開。不動産業界団体から寄せられたコメントに注目

このほど国税庁が平成29年分の路線価図等を公開しました。これに対して、不動産業界団体の代表から寄せられたコメントに「日本経済の現状と今後の動向を垣間見ることができる」との声が聞かれます。

 

路線価は相続税や贈与税の土地評価算定基準になるもので、全国の主な道路に面したおよそ333千地点について、1平方メートル当たりの評価額を国税庁が毎年11日の時点で評定しています。

今回の路線価で一番注目されているのは、東京の銀座5丁目の銀座中央通りが4,032万円で、32年連続で日本一となったことです。これはバブル経済の影響を受けた平成4年の3,650万円を大きく上回る過去最高額で、東京オリンピック・パラリンピックに向けた再開発事業などを背景に、去年より26%も上昇しました。

こうした路線価に対して一般社団法人不動産協会の菰田正信理事長は「今回発表された路線価は、全国平均が2年連続で上昇し、上昇率は昨年より大きくなるとともに、地方でも下落率が縮小した地域が多くみられた。こうした動きは、緩やかな経済の回復基調が続く中、都市部のみならず地方においても経済の活性化の芽が徐々に出始めていることが地価に反映されたものである」と評価しています。

一方、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の伊藤博会長は「中古住宅流通市場では、景気回復基調や金融緩和策、雇用環境の改善が追い風となり、概ね堅調に推移しているが、来年、各種税制特例措置の多くが適用期限切れを迎える。2019年には消費増税も控えており、足元の堅調な市場を維持するにはこれら税制特例措置の延長は不可欠だ」と政府をけん制しました。

そして、空き家・既存住宅流通活性化の実効性ある措置として「空き家等の報酬を始めとする各種施策を国に大いに期待するとともに、本会としても、不動産最適活用を通じた地域の活性化や、インスペクション・瑕疵保険制度の普及促進による良質なストック形成、既存住宅流通促進に鋭意取り組み、持続的な経済成長に貢献したい」(伊藤会長)と抱負を述べています。