●今年も消費税の軽減税率導入廃止などを求める―日税連の平成30年度税制改正に関する建議書

日本税理士会連合会(日税連、が平成29622日に開催された第1回理事会において、「平成30年度税制改正に関する建議書」を決定しました。今回の最重要建議として、消費税の軽減税率制度を批判しています。この建議は毎年行われている税制改正に大きく影響をあたえているものだけに注目を集めいています。

 

今回の税制建議書には次のような改正要望を最重要課題としています。

まず、1番目で要請しているのが「消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持」です。軽減税率(複数税率)制度は、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること、逆進性対策として非効率であること、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となること等の理由から廃止を求めています。

次に、要請しているのが所得税の「所得控除の抜本的見直し」です。

具体的には、給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であることや、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、人的控除を中心として課税最低限を確保することを求めています。また、すべての納税者が一定額まで同一の軽減効果が得られる税額控除方式またはゼロ税率方式(一定の課税所得まで税率をゼロとする方式)への変更も求めています。

さらに、3番目に要求したのが「中小法人に対する繰越欠損金控除制限及び外形標準課税の不適用」です。業績回復の阻害要因とならないように、中小法人に対しては現行の繰越欠損金の100%控除制度の維持を求めています。

そのほか、償却資産に係る固定資産税制度について国際競争力の観点からも将来的には廃止を検討すべきであるとしています。また、個人事業者等について、法人番号と同様に運用上の制限が少ない「個人事業者番号」を導入し、その付番を選択的に受けられるようにする必要があるとしています。