●通則法の改正響く。再調査の請求が前年よりも47.5%も減る

このほど、国税庁が昨年度の国税に関する「再調査の請求」「審査請求」「訴訟」の状況をまとめました。それによると、再調査の請求(元異議申し立て)の件数が前年度よりも47.5%も減っています。

 

国税の課税処分から納税者を救済する制度として、国が設けているのが処分庁に対する再調査の請求(改正前の異議申立て)と国税不服審判所長に対する審査請求です。その救済制度を使っても納得がいかない場合は、裁判所に対して訴訟を提起し、処分の是正を求める仕組みになっています。

このほど、国税庁が昨年度のその救済制度および訴訟の状況をまとめました。

まず、再調査の請求を見てみると、請求件数は1,674件で、前年度より47.5%減少しています。これは、平成266月の国税通則法改正により、不服申立手続が全体的に改正され、平成2841日以降になされた課税処分については、再調査の請求を経ないで審査請求を行うことが可能となったことが大きく影響したものと推測されます。

そして、国税当局が平成28年度中に行った再調査の請求の処理件数は1,805件でした。このうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は123件(一部認容100件、全部認容23件)で、その割合は6.8%(一部認容5.5%、全部認容1.3%)となっています。

一方、審査請求の件数は2,488件で、前年度より18.6%増加しました。

そして、国税不服審判所が平成28年度中に実施した審査請求の処理件数は、1,959件で前年度比84.8%となっています。

その処理件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は241件(一部認容192件、全部認容49件)で、その割合は12.3%(一部認容9.8%、全部認容2.5%)でした。前年度と比べ4.3ポイント増加しています。

さらに、国税に関する訴訟の発生件数は230件で、前年度より0.5%減少しています。

ちなみに、28年度中に終結した訴訟の終結件数は245件でした。このうち、国側が一部敗訴したもの及び全部敗訴したものは11件(一部敗訴5件、全部敗訴6件)で、その割合は4.5%(一部敗訴2.0%、全部敗訴2.5%)となっています。