●配偶者控除の拡充で地方交付税の減額を懸念。地方六団体が国に待ったをかける

国と地方の協議の場平成29年度第1回会合がこのほど開催され、焦点となった議題の中のひとつに平成29年度税制改正に盛り込まれた所得税の配偶者控除の見直しに伴う措置がクローズアップされています。

 

5月31日、総理官邸において、国と地方(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会の地方六団体)の協議の場平成29年度第1回会合が開催されました。

主な議題は(1)「骨太の方針」の策定等と(2)地方創生及び地方分権改革の推進についてでしたが、この協議のなかで、税制面で地方六団体が国に強く求めた「個人所得税改革に当たっては、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しによる個人住民税の減収額について、地方財政に影響を及ぼすことがないよう、確実に全額国費で補塡すること」という要請が話題となっています。

今年327日に国会で成立した平成29年度税制改正関連法案では、「配偶者控除」の廃止そのものが見送られ、逆に20181月から世帯主の所得からの満額控除(38万円)が適用される配偶者の所得の上限が103万円以下から150万円以下に引き上げられました。

当初、所得税配偶者満額控除の上限については「年収130万円」案もありましたが、「配偶者の年収が130万円を超えると社会保険料負担が発生する『130万円の壁』と重なって壁が厚くなりすぎる」ことや「パートの時給が上昇していて、上限が低いとパート女性らが労働時間を増やす効果が見込みにくいため」という理由で年収150万円に落ち着きました。

 配偶者控除の拡充ということは、その分税収が減るということになることから、地方六団体は国が地方交付税を引き下げるのに格好の材料となることをけん制、減る分は国の費用として処理するよう先手を打ったわけです。