●株で儲ける人が大幅に減った―平成28年分の所得税等の確定申告状況で明らかに

平成28年分の所得税等の確定申告状況を国税庁がまとめました。それを見ると、平成28年は株取引で儲けた人が非常に少なかったことがひと目でわかります。

 

国税庁の集計によると、平成28年分所得税等の確定申告書の提出人員は2169万人で、前年分(21515千人)から176千人(+0.8%)増えたものの、平成23年分からほぼ横ばいで推移しています。このうち、申告納税額のあった人(納税人員)は637万人でした。そして、納税人員の総得金額は40572億円で、申告納税額は3621億円となっています。前年分と比較すると、納税人員(+0.7%)、総所得金額(+1.7%)及び申告納税額(+3.1%)はいずれも増加しました。

注目の事業所得の申告については、納税人員が1731千人(対前年比+1.9%)で、その総所得金額は71107億円(同+3.1%)、申告納税額6365億円(同+2.4%)といずれも増加しています。一方、事業所得者以外は、納税人員が4639千人(対前年比+0.3%)で、その総所得金額は329465億円(+1.4%)、申告納税額は24256億円となっています。

今回の国税庁の集計で、前年よりも大きな動きがあったのが譲渡所得の申告でした。なかでも株式等の譲渡所得に著しい変化が見られました。確定申告書を提出した人員のうち、株式等の譲渡所得の申告人員は932千人(対前年比+2.7%)でしたが、有所得人員が294千人(同マイナス36.3%)と大きく減少し、その影響で所得金額も26130億円(同マイナス4.7%)と減少しました。ちなみに、昨年は株取引でまったく儲からなかったか、または、損をした人は638千人(同+43%)でした。すなわち、昨年は株取引が非常に低調だったと言えます。