●法定相続情報証明制度が5月29日スタート。税理士も申請代理人に
法務省が、全国の登記所(法務局)において各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」を5月29日から開始します。同制度は、所有者不明土地問題や空き家問題などの改善を図ることを目的としたものです。また、同制度の利用には税理士も一枚噛んでいます。
不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要となります。
ところが、その登記を怠る人が多く、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増え続けています。これがいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の⼀因となっているとも言われていることから、法務省が相続登記を促進するために「法定相続情報証明制度」を新設しました。5月29日から運用が開始されます。
相続登記を怠る理由としては、相続手続きに必要な亡くなった方の除籍謄本は、1つしかない、または、1つの除籍謄本にすべてが載っていると思い込んでいる人が少なくないことに原因があります。実際には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍類には、除籍謄本が1つだけではなく、他にも、明治、大正、昭和、平成と時代の流れに伴って、それぞれいくつもの除籍謄本や戸籍が存在します。
そして、それらはすべて過去に本籍のあった役所でしか取得できません。本籍が市外や県外の場合、その市外や県外の役所の窓口に直接出向くか、郵送で取り寄せることにとなります。一般的な被相続人でも3カ所から6カ所の役所から取り寄せると言われていて、転籍が多かった被相続人の場合は、戸籍の数がさらに増えて、多くの役所から戸籍を取り寄せなければならなくなります。
相続登記以外に戸除籍謄本が必要となるケースとしては、被相続人名義の預貯金口座の引き出しや生命保険の保険金の受け取り、証券会社などにある被相続人名義の口座の名義変更などがあります。相続人は相続登記をしなくても必ず戸除籍謄本の取り寄せが必要となるわけです。
そこで、法務省では、取り寄せた戸除籍謄本を相続人の責任でもって作成した法定相続情報一覧図を登記所が保管し、偽造防止措置を施した専用紙で認証文付き法定相続情報⼀覧図の写しを登記所が交付するという法定相続情報証明制度を新設したわけです。
なお、法定相続情報一覧図の作成および申請の代理人として弁護士や司法書士だけでなく税理士も代行できることになっています。